1 デートクラブ等の利用実態
補導された女子少年のデートクラブ等の利用実態としては,友人の話や店のチラシによりその営業を知り,友人から誘われ遊び惑覚による小遣い稼ぎを動機として利用する.利用した際には,カラオケボックスや喫茶店等で男性客とデートして,合計数万から数十万の金銭を得て,それを自らの遊興費に充てている.
利用実態を性交経験の有無で比較すると,性未経験群に比べて性経験群は各営業形態の店舗での利用度が高く,より高額な報酬を得て,利用後には不良化が促進される傾向がある.さらに,女子少年に与える心理的影響も大きく,金銭への執着を強めると共に罪悪感を募らせ,マイナスの自己評価を強めるなど,青少年の健全育成に好ましくない影響を与えると考えられる.
2 逸脱行動の経験
逸脱行動の経験については,一般女子少年と比較して怠学,飲酒,喫煙など不良行為の経験率は高い.しかし,非行行為として万引き,乗物盗の経験率は一般と比べ高いが,その他の非行行為では一般と同程度に低かった.このことから,デートクラブ等で補導された女子少年は,仮説1のとおり,不良行為レベルから初発型非行レベルの非行進度と位置付けることが出来る.マスコミで言う「一般の女子高生」というイメージとは若干食い違っているといえよう.
3 性行動と生活の乱れ
デートクラブ等で補導された女子少年の性交経験率は55%で,一般少年と比べ極めて高い割合である.さらに,彼女らは中学卒業までに65%が初交を経験し,85%が複数の男性との性交を経験している.性交経験の有無と逸脱行動との関連を見ると,性経験群は性未経験群に比べ逸脱行動の経験率が高く,さらに性経験群の中では性交の相手数が増えるほど逸脱行動の経験率が高まる傾向が見られた.これは女子少年の性交経験と逸脱行動とのネガティヴな関連が考えられ,「性の乱れが生活の乱れにつながる」という仮説2が裏付けられたといえよう.
4 性意識
性意識については,性交自体の許容度は一般女子少年と比べると多少高いものの大差無く,売春についても一般女子少年と同程度に許容度は低い.しかし,「ナンパされた人から金品をもらうこと」については,デートクラブ等で補導された女子少年は一般女子と比べ,してもかまわないと思う割合が高かった.また,性経験群は性未経験群に比ベ,性交経験時期の早期化や複数の相手との性交を容認する傾向が明らかで,デートクラブ等の利用に寛容であるなど開放的な性意識を有しているといえる.
5 家庭と学校への適応
デートクラブ等で補導された女子少年は一般女子少年と比較して,家庭への適応状況はそれほど悪くはないが,学校には不適応の傾向が見られた.そして,社交的で群れたがり目立ちたがりで耐性が低いなどの性格特性の傾向もあり,社会で注目を浴びているデートクラブ等に抵抗無くアクセスしてしまうと考えられる.
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