昭和31年3月より昭和41年12月までの約10年間における豊橋市民病院人間ドックは, 受診総数697例で, うち男647, 女50例である. 年令構成は50才代がもっとも多く, 40才代, 60才代がこれについでいる. 検査項目を2つに分け, a) 循環器系, b) 消化機系に分けて, その成績をのべる.
a) 高血圧21.4%, 尿蛋白陽性7.9%, 尿糖陽性6.8%, 眼底 KW O 48.9%, I 29.5%, II 21.6%, III以上なし. PSP 排泄試験異常29.8%, Fishberg 濃縮試験異常17.4%, 耐糖能異常41.1%, 血清総コレステロール異常12.0%, 心肺比異常13.4%, 心電図Rv
5増高27.7%, ST-T 異常14.7%であった.
b) 便中虫卵陽性11.7% (うち58.3%は横川吸虫卵), 胃酸度は無酸19.4%, 低酸29.1%, 正酸31.4%, 過酸21.1%, BSP 試験異常は29.9%, であった. 胃十二指腸X線上で, 胃癌疑0.3%, 胃潰瘍1.0%, 胃潰瘍疑1.7%, 胃ポリープ0.15%, 胃ポリープ疑0.15%, 十二指腸潰瘍2.4%, 球部変形2.4%, 十二指腸潰瘍疑1.6%, 十二指腸憩室0.5%であり, 胆嚢X線上では, 胆石1.9%, 造影不良3.9%, 胆石疑0.6%で, 直腸潰瘍, 直腸癌はなかった.
予後調査では解答率81%で, 循環器死因17例 (脳死9, 心死7, 腎死1), 消化機死因7例 (胃癌3, 腸癌1, 肝癌1, 膵癌1, 肝硬変症1), その他4例 (乳癌1, 脳腫瘍1, 老衰1, 交通事故1) であった.
循環器系死因のうち, ドック受診時の検査項目中, 耐糖能異常が目だち, ついで心電図異常が多かった. 消化機系死因では胃癌の1例が, ドック受診時疑いをもたれているが, 他の癌死亡例はいずれも予測されていない. 肝硬変症の1例は, 受診時すでに BSP 異常を check されていた.
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