前報に引き続き難燃-樹脂併用加工における同浴, 別浴両加工方法の比較検討を, 今回は消費科学的に問題となる強伸度, 硬さを示唆するヤング率, 紫外線照射の影響および化学的な面でHCHOの加工布中の含有量などを対象として行い次のような結果を得た.
1) 強度については, レーヨンではいずれも加工により増大したが, 綿では難燃単独, 同浴加工は未加工と大差なく別浴加工は低下を示したが樹脂加工より向上した.
2) 伸度はいずれの加工においても付着率増加とともに低下したが, 別浴加工が綿, レーヨンともに低下率がもっとも大きかった.
3) ヤング率はいずれの場合も付着率増加に伴って増大したが, 未加工布に対する増加率は全体的にレーヨンのほうが大きかった.
4) 各加工布のHCHO含有量に関しては, 樹脂単独加工とともに別浴加工は問題がないが, 同浴加工布の含有量は著しく高く, この点が大きな問題となると考えられる.
5) 紫外線照射の影響を防炎性能, 防しわ効果, 強伸度などについて検討した結果, 両加工とも紫外線照射による繊維の強伸度の変化をむしろ抑制する傾向を示した.
以上を総合的に考察すると, 現在までの段階ではHCHO含有量において同浴加工は大きな問題となるため, 綿の強度低下の点で若干問題はあるが, 第1報との関連性も含めて現在までのところでは, 別浴加工のほうがより好ましいという結論が得られた.
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