ギニアグラスの生殖様式は,大部分がアポミクシスと呼ばれる単為生殖であり,
有性生殖
個体の発見なしには交雑育種が不可能であった。その後,東アフリカからの探索導入系統の中から二倍体(2n=16)の
有性生殖
系統(GR297)が発見されたが,ほとんどのギニアグラス系統は四倍体(2n=32)であることから,この
有性生殖
の遺伝資源を有効に利用するためには染色体倍加が必要であった。そこで,頴を取り除き,シャーレ内で2日間催芽したGR297種子に0.1%コルヒチン溶液を4時間処理し,1時間水道水ですすいだ後に素焼きポットに幡種した。そして,これら処理植物の根端および花粉母細胞を調査することによって染色体倍加植物の単離を試みた結果,3個体の倍加植物が見出された。倍加植物の出穂期,稔性および歯長はGR297と差はなかった。しかし,倍加植物はGR297より稈長が短く,茎数が少なく,葉幅が広かった。これらの固定した種子増殖が可能な四倍体系統は,
有性生殖
であり,四倍体レベルでアポミクシス個体を交雑する際の中間母本として有望であり,今後ギニアグラスの交雑育種に新たな可能性を拓くものである。
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