_I_ はじめに
当病棟は脳血管疾患などにより、片麻痺、四肢麻痺の患者が多数を占めている。上肢に麻痺がある場合、手掌部が屈曲、拘縮により
湿潤し不潔になりやすく悪臭を伴いやすい。
そこで、消臭、除湿、空気清浄化に効果があり、安全、安価で洗って再利用できるという利点を持つ
木炭
を用いて、消臭効果を試みた。
_II_ 研究目的:
木炭
パックを使用することにより、麻痺側手掌の不快臭が軽減でき、有効性を知る。
_III_ 研究方法
1 対象患者
手指拘縮の患者男性2名 女性1名
2 調査方法
調査期間 平成19年2月18日~2月24日
麻痺側の手掌内に
木炭
パックを握らない状態で入浴当日の入浴前後、入浴後の3日間を6段階臭気強度表示法を用いて職員5人が測定し平均値を出す。
次に
木炭
パックを使用した状態で同様に調査を行う。
_IV_ 結果
A氏は、
木炭
パック未使用時の一番高かった数値は3.2であった。入浴直後は1.4、
木炭
パックを使用してから1、2日目は徐々に減り3日目は0までいった。
B氏は、
木炭
パック未使用時の一番高かった数値0.4であった。入浴直後は0に減ったが、
木炭
パックを使用してから3日間ともに数値の変化が少なく、
3日目は0.4となった。C氏は、
木炭
パック未使用時の一番高かった数値は3.6であった。入浴直後は0.2、
木炭
パックを使用してから1日目が0まで低下。
しかし2日目は4.2と増加し、3日目には1.6となった。
_V_ 考察
今回、
木炭
を使用して、手掌内の不快臭を消臭できるかと研究を試みた。対象となった患者は全員、週2回の入浴のみであり、手掌内が汚れていない限り手洗いは行っていない。
また、見た目の変化も少ないことから臭気における対策ができていなかった。
入浴前の不快臭は強く、入浴により不快臭が減少し、時間、日数が経過とともに不快臭の数値が上昇するものと考えていた。
結果、3人の対象患者の手掌内の不快臭の消臭効果は
木炭
パック使用前に比べて数値的に効果があったといえる。
A氏B氏共に使用後の数値はほぼ無臭に近い少数点での平均値を出すことが出来た。C氏は研究途中の2日目に
木炭
パックが手掌内から外れていたため、数値がその日だけ異常に
上昇していたことが予測できる。外れていると効果がないということであり、例え短時間でも外れていた場面で数値は上昇し、その後装着した翌日には数値は減少した。このことから、
木炭
パックの消臭効果は高いといえる。しかし、麻痺側の手掌内に
木炭
パックを装着するということは容易に出来ることではなく、今後は握らせ方の工夫が必要である。
今回は臭いを6段階臭気強度表示法を使用し平均値を出すという方法で行ったため、臭覚の個人差は少なかった。
木炭
の消臭効果により数値的変動は少なく、おおむね不快臭は
軽減できる結果が出た。
_VI_ 結論
木炭
には消臭の効果があり、その効果は麻痺手の不快臭の軽減にも有効である。麻痺側手掌だけではなく棟内のさまざまな臭いの消臭に
木炭
を活用することで、良い療養環境を
提供していきたい。
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