ブタ心筋梗塞モデルにおける柴胡加竜骨牡蛎湯, 当帰芍薬散,
木防已湯
の影響とくに漢方方剤の心筋梗塞巣拡大阻止の有無について検討した。自家製金属コイルを左冠動脈内に挿入して心筋梗塞誘発後, (1) 柴胡加竜骨牡蛎湯投与群 (n=5), (2) 当帰芍薬散投与群 (n=5), (3)
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投与群 (n=5), (4) 対照群 (漢方方剤非投与群: n=5) にわけて1ヶ月飼育した。その後, 心筋梗塞巣の定量的解析や組織学的に梗塞巣と正常心筋の境界領域について検討した。
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群の梗塞・心臓重量比は2.45±0.97%, 梗塞・左心系重量比は3.55±1.48%であった。一方, 対照群の梗塞・心臓重量比は3.94±0.52%, 梗塞・左心系重量比は5.61±0.45% (p<0.05) で
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群よりも上昇していた。当帰芍薬散群では梗塞・心臓重量比は3.99±1.45%, 梗塞・左心系重量比は5.46±1.88%で, 柴胡加竜骨牡蛎湯群の梗塞・心臓重量比は2.11±1.02%, 梗塞・左心系重量比は3.73±1.89%であった。対照群と比較して有意差はなかった。梗塞巣の組織学的な特徴は, 対照群では強い炎症細胞浸潤, 実験群では軽い炎症細胞浸潤と進展した線維化が示された。被検方剤, とくに
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はブタ心筋梗塞巣の進展・拡大を阻止する可能性が示唆された。
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