開心術において人工心肺 (CPB) 中にミルリノンを単回静注し, その効果を検討した. 開心術症例10例にCPB中大動脈遮断解除後にミルリノンの単回静注を行い (M群), 静注を行わなかった10例(C群)と, 血行動態を比較検討した. また, 手術終了時のカテコラミン投与量, 復温時間, 副作用を検討した. ミルリノン静注後, 灌流圧が低下したが, CPB終了後および手術終了時点において大動脈圧に差はなく, 心拍数, 肺動脈圧, 肺動脈楔入圧にも両群間に差はなかった. CPB終了後の心係数はM群において高く, 末梢血管抵抗係数はM群が低値であった. カテコラミン投与量, 復温時間には差はなく, 副作用もなかった. CPB中のミルリノンの単回静注は灌流圧を低下させるものの, カテコラミン必要量を増やすことなく, CPB終了後の心係数を増加させ, CPB後の術中, 術後管理に有用であった.
抄録全体を表示