抄録
虚血心筋に対する血行再建術において, その治療対象心筋の viability および重症度の評価は治療方針決定上重要な問題である. 今回われわれは, 新しく開発された心筋脂肪酸代謝イメージング剤である123I-BMIPP (betamethyl iodophenyl pentadecanoic acid) を用いた心筋SPECTを冠動脈バイパス術の前後で施行し (201Tl心筋SPECT, 左心室造影も同時に施行), この問題を検討した. 8例, 33の被血行再建領域において, 123I-BMIPPと201Tl SPECTでの集積の手術前後における変化と組み合わせ, そして左心室造影上の壁運動の対応を検討した. それらの variation から viability と重症度の評価は可能であり, 治療の効果の判定と責任冠動脈とキーバイパスグラフトの決定が可能であった. その詳細を若干の文献的考察を加え報告する.