約1日光周期とカイコの成長との関係を無菌飼育によって研究した。1光周期は18, 20, 22, 24, 26, 28時間とし, 各区にそれぞれ明暗時間の組み合わせを異にする7~9の光周期処理区を設けた。実験の結果はつぎのように要約される。
1) カイコの経過は18時間光周区では, 4L14Dがもっとも短かく (24日9時間), ついで1L17D (24日12時間), 7L11D (24日21時間) の順であり, これ以外の明相時間の長い区はいずれも経過が1~3日長びいた。
2) 20時間光周区でのカイコの経過は4L16D, 7L13D (24日7時間) がもっとも早く, ついで1L19D, 10L10D (24日18時間) であった。これ以外の長日条件区はいずれも経過が1~3日遅延した。
3) 22時間光周区におけるカイコの経過は, 5L17D, 8L14Dがもっとも短かく (23日), ついで2L20D (24日), 11L11D (24日6時間) の順であった。これ以外の長日条件区はいずれも経過が長びき, 約25~26日を要した。
4) 24時間光周区におけるカイコの経過は, 6L18D (22日) がもっとも短かく, ついで9L15D (22日12時間), 3L21Dと12L12D (約23日5時間) の順であった。その他の長日条件区では, 15L9D (23日9時間) 以外はいずれも経過が長びき, 約24~25日を要した。
5) 26時間光周区におけるカイコの経過は, 4L22D, 7L19D, 10L16Dがもっとも短かく (23日12時間), ついで1L25D (24日), 13L13D (24日6時間) の順であった。これ以外の長日条件区ではいずれも経過が長びき, 約25~29日を要した。
6) 28時間光周区におけるカイコの経過は, 8L20D, 11L17Dがもっとも短かく (23日12時間), ついで5L23D (24日), 2L26D (24日9時間), 14L14D (24日12時間) の順であった。これ以外の長日条件区ではいずれも経過が長びき, 約26~27日を要した。
7) 正常の時制 (24時間) においては, 明相: 暗相の比が1:3 (6L18D) のとき, 経過は最短であったが, この比率は他の区にはあてはまらなかった。すなわち, 1光周期が24時間をこえると比の値が高くなり, 20時間以下だと低くなる傾向を示した
8) 幼虫経過の短縮したものと他のものと比較すると, 前者は繭重が若千軽い以外, 繭層重, 繭層歩合にもほとんど差を認めなかった。
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