本稿はインドネシアの紙パルプ企業による
森林保全
の取り組みにおける企業とNGOの相互関係を,世界有数のパルプ・製紙企業であり,インドネシアの巨大財閥シナルマス(Sinar Mas)の主要部門であるアジア・パルプ・アンド・ペーパー社(APP)に着目し,APPが2013年2月に公表した
森林保全
の取り組みである
森林保全
指針(Forest Conservation Policy)の実施過程を事例にして考察した。分析の結果,APPは,APPとThe Forest Trustとの協働およびRainforest Allianceによる評価を軸に,Greenpeaceをはじめとする
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指針の内容や枠組みに対して主に意見するNGO,主に傘下企業による森林管理の不徹底を批判するNGOなどの意見を取り入れ
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指針を実施,改善してきたことがわかった。
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指針の実施過程では,APPとNGOは対立関係ではなく,企業の取り組みにNGOが内包され,より総合的な
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の主体が形成されようとしている点が示唆された。ここでは
森林保全
の取り組みを主導する企業はもとよりNGOも,企業との協働を前提として活動するよう質的に変化していると考えられた。
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