藤掛 一郎, 大地 俊介
林業経済
2022年
75 巻
6 号
1-16
発行日: 2022年
公開日: 2022/10/26
ジャーナル
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我が国の保安林制度は、森林の公益的機能確保のために施業等に制限を課すものであるが、多数を占める水源かん養保安林では原則として皆伐を許しており、木材生産との両立を図ろうとする側面を持つ。主伐が活発化している宮崎県民有林を対象に保安林伐採許可等の資料を分析した結果、水源かん養保安林では非保安林よりも主伐が活発に行われていることが明らかとなった。理由として、水源かん養保安林は面積がまとまっており、木材生産に適する場合があることが考えられた。戦後大きく面積を広げた保安林が初めて本格的な収穫期を迎えた中、民有の水源かん養保安林で活発な主伐再造林が行われていることは、施業制限によって公益的機能を確保しながら循環型林業経営を行っていく一つのあり方を示すものと捉えられるとともに、水源かん養保安林において比較的自由な施業を許していることが公益上問題がないか、実地検証の機会としても注目される。
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*酒井 敦, 齋藤 智之, 野口 麻穂子, 佐々木 誠, 伊藤 淳二, 湯浅 真, 井上 晃, 高橋 慶一
会議録・要旨集
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低密度植栽は低コスト育林のひとつの手段であるが、競合植生に負け植栽木が健全に育たない場合がある。本調査では宮城県白石市のスギ林で植栽密度や斜面傾斜が植栽木の成長や樹形に与える影響を検討した。調査地は
森林整備センター
の事業地にあり、2010年春にスギ苗をha当たり1000本、2000本、3000本の密度で、3段階の斜面(緩、中、急)に植栽した。植栽の翌年から4年間毎年下刈りを行い、2019年に除伐を行った。2020年10月に植栽木の胸高直径、樹高、樹冠幅を計測した。調査木の胸高直径(DBH)は平均10.5~12.3cm、樹高は平均6.6~7.9mだった。緩傾斜地(5~15°)では1000本区で有意に樹冠投影面積が大きく、3000本区で樹高が高かったが、DBHや単木当たりの材積は植栽密度による違いはみられなかった。また、急傾斜地(30°以上)では3000本区で樹高が有意に高かったが、DBH、樹冠投影面積、単木当たりの材積は植栽密度による違いはなかった。本事業地では下刈りや除伐を十分に実施したため1000本/haの低密度植栽でもスギが健全に生育したと考えられる。植栽木に対する地形の影響は、傾斜角に加え斜面方位や斜面の相対的な位置が反映されている可能性がある。
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*飯島 勇人, 岡 輝樹, 渡辺 康文, 久保田 拓也
会議録・要旨集
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ニホンジカによる植栽木の摂食は、日本各地で深刻な被害をもたらしている。ニホンジカによる摂食を防ぐ方法の一つとして、防鹿柵の設置が挙げられる。柵は予算や設置箇所の条件などにより、施工内容が大きく異なる。施工内容の違いは、柵の破損リスクやニホンジカの侵入による植栽木への被害発生可能性に影響すると考えられるが、これまで具体的にどのような条件が柵の破損リスクや被害発生可能性を高めるのか明らかでなかった。本研究は、柵を設置して3年以内の日本各地の235地点の造林地から得られた柵の施工内容、柵の破損の有無、植栽木の食害の有無、造林地周辺のシカ密度を、階層ベイズモデルで解析した。その結果、柵の破損リスクはネットにステンレスが入っておらず、支柱間隔が広く、急傾斜地ほど高いことが明らかになった。一方、破損リスクに柵のネットの網目サイズ、ネットの高さ、支柱の埋設深、ポールのロープ固定の有無、ネットの杭による固定の有無、ロープによる押さえの有無は影響していなかった。植栽木に被害が発生する確率は、柵の破損リスクが高く、造林地周辺のシカ密度が高いほど高いことが明らかになった。
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*平井 敬三, 小松 雅史, 長倉 淳子, 林 健二, 荒家 武
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カリウム施肥は事故後に植栽したヒノキ苗の放射性セシウムの経根吸収抑制に有効である事をこれまで明らかにししてきた。今回は継続的な施肥効果と、施肥中断が放射性セシウム吸収におよぼす影響を検討することを目的に調査を行った。福島県川内村に2014年に3年生の非汚染ヒノキ苗を植栽し、0.225~0.250haの施肥区と非施肥区を各4プロット設けた。施肥区ではカリウムとして83kg/haの塩化カリウム肥料を2016年まで3年間毎年施用した後、施肥区のうち2プロットは2017年から施肥中断区とした。毎年成長終了期採取した苗の針葉・幹枝・根の放射性セシウム濃度は、施肥を中断した2017年についてもそれ以前と同様、施肥区の方が非施肥区より有意に低く、カリウム施肥による樹木の放射性セシウム吸収抑制効果の継続が確認できた。施肥中断区の放射性セシウム濃度は非施肥区よりも低いが、施肥区よりも高い傾向を示した。このことは継続的な施肥は放射性セシウムの吸収を抑制する一方、施肥によるカリウム供給を止めれば放射性セシウム吸収が再び増加する事を示している。
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*山口 浩和, 猪俣 雄太, 毛綱 昌弘, 永町 博満, 山下 茂樹
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国内に導入されているフォワーダの多くは、ステアリング機構やアーティキュレート機構を持たない履帯式走行車両をベースとしており、オペレータはT字レバーと呼ばれる操作装置を用いて、車体の前後進や速度の調整を行うとともに、左右の履帯それぞれの回転速度を制御するスキッドステアリングにより方向の調整を行っている。しかし、この履帯式走行車両では、荷台の積載状態や走行路面の状態により旋回特性が大きく変化するため、操作に慣れていないオペレータでは、意図した方向に車両をコントロールすることができずに、急旋回や複数回の方向修正を余儀なくされる場合がある。スキッドステアリングにおける急旋回は、履帯がスラスト方向へ大きくスライドするため、路面の土を大きく移動させるなど路面の撹乱を招く可能性がある。そこで本報告では、オペレータの運転操作方法の分析と車両および履帯の軌跡を解析することにより、路面損傷を防ぐ運転操作手法について検討した。
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*長倉 淳子, 小松 雅史, 平井 敬三, 眞中 卓也, 久保田 拓也, 遠藤 宏之
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カリウム施肥による樹木へのセシウム吸収抑制効果を評価するため、福島県川内村内の水源林造成事業地において3年生ヒノキを2014年に植栽し、カリウム施肥区と無施肥区を各4プロット設けて調査している。植栽4年目(2017年)から施肥区のうち2プロットで施肥を停止(施肥3回区)、8年目(2021年)から残りの2プロットも施肥を停止(施肥7回区)した。ヒノキの平均樹高は、植栽時から7年目まで有意な処理間差はなく、植栽から8年目(2021年)には施肥区で326cm、無施肥区で319cmであり、施肥区で有意に大きかった(p=0.04)ことから、カリウム施肥はヒノキの成長に悪影響をおよぼしていないと考えられる。針葉のセシウム平均濃度は、施肥3回区では、施肥停止1年後の2017年から高まったが、施肥停止から6年経過した2022年でも無施肥区の約1/3にとどまり、セシウム吸収抑制効果は弱まるものの持続していた。施肥7回区では施肥停止から2年経過した2022年でも針葉のセシウム平均濃度の上昇がみられず、無施肥区の1/8だった。施肥3回区が施肥停止から2年経過した2018年は無施肥区の1/4だったことから、施肥回数が多いと施肥停止後にセシウム吸収抑制効果が持続しやすいと考えられた。
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*野口 麻穂子, 齋藤 智之, 酒井 敦, 佐々木 誠, 伊藤 淳二, 青山 岳彦
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低密度植栽は再造林コストを削減する手段のひとつに挙げられている。しかし、植栽密度を低くした場合、林冠閉鎖の遅れにより競合植生が繁茂し、保育作業量が増加する可能性が指摘されている。本研究では、植栽密度の異なる試験区を設けた東北地方のスギ若齢林において、植栽木の樹高と樹冠幅、競合植生高、植栽木と植生の競合状態を調べ、植栽密度との関係について検討した。6〜7年生の3林分は下刈り終了後1〜4年、11年生の1林分は除伐後1年の時点で調査を実施した。6〜7年生林分では、植栽木の平均樹高は最大で3m 程度にとどまった。これらの林分では、植栽木の樹冠幅、競合植生高、植栽木の樹冠の露出状況のいずれも、植栽密度との関係は認められず、むしろ下刈り終了後の経過年数の影響が大きかった。一方、平均樹高が5〜8mに達していた11年生林分では、植栽密度が高いほど競合植生高が有意に低く、競合植生の成長が抑制されていた。これらの結果を踏まえ、下刈り・除伐スケジュールと植栽密度の望ましい組み合わせについて議論する。
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*上村 章, 原山 尚徳, 飛田 博順, 鈴木 真一
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造林用の苗木の需要が増す中、マルチキャビティコンテナを用いた苗木の生産供給が求められている。コンテナ苗は、裸苗と比べて、初期成長が良いとされるが、十分な知見は得られていない。コンテナの種類もいくつかあり、どのコンテナを用いたらより初期成長が良い苗を作れるかも明らかでない。本研究では、北海道における主要造林樹種であるカラマツ(Larix kaempferi)を材料に、3種類のコンテナを用い、温室により育成期間を延ばし、1年で山出し苗を育成した。それらコンテナ苗と裸苗を含め初期成長過程の違いを明らかにすることを目的に調査を行った。
コンテナは、4月末までは、室温が10℃を下回らないように加温制御した温室に置かれた。培地は、ココピート100%を用いた。肥料は、緩効性肥料(肥料効果8~9ヶ月)をN15g/L与えた。育成した苗は、2016年5月に植栽した。2016、2017、2018、2019年の成育期間の終了後に成長量を測定した。植栽前、大きかったコンテナ苗の形状比(樹高/直径)は、1成育期間で裸苗に近い値まで低下した。樹高は、植栽3年目で1.5mを超えた。JFA150、150slitと比べて、JFA300の樹高、地際直径成長が良かった。
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*長倉 淳子, 小松 雅史, 平井 敬三, 林 健二, 荒家 武
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放射性物質によって汚染された林地において放射性セシウムがどのくらい根から吸収されるか、作物で放射性セシウム吸収抑制効果が確認されているカリウム施肥は樹木にとっても効果があるのかを明らかにするために、福島県川内村マリ山に3年生ヒノキ苗を2014年6月に新規植栽し、同年8月から現在までカリウム施肥区と非施肥区を設けた試験を行っている。新規植栽木に吸収された放射性セシウム濃度は毎年生育期間終了後に40個体を掘り取って葉、幹枝(個体サイズが大きくなったため2017年から幹と枝に分けた)、根に分けて測定している。葉の放射性セシウム濃度から他の部位の放射性セシウム濃度を推定できるかを2016年、2017年の2年分のデータから確認した。葉と幹または枝の放射性セシウム濃度の相関をとった場合の決定係数は0.95、葉と根の決定係数は0.86であり、高い相関がみられた(P<0.001)。40個体から8個体を抽出して相関をとっても葉と根の決定係数は0.82と高かった(P=0.002)。これらの結果から、葉の放射性セシウム濃度から幹・枝・根の放射性セシウム濃度を推定できることが明らかになった。
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*山浦 悠一, 瀨戸 美文, 富田 幹次, 佐藤 重穂, 米田 令仁, 比嘉 基紀, 市栄 智明, 鈴木 保志
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生物多様性の保全に関する社会的な機運が高まり、林業施業地でも生物多様性の保全への配慮が求められている。私たちは高知県のスギ・ヒノキ人工林を主伐再造林する際に広葉樹を保持する試みを国有林と水源林で行なっている。
国有林の対象地は四万十森林管理署管内・長野山国有林2027林班い小班である。本地では地拵え前のヒノキ人工林伐採跡地に広葉樹が生残していた。そこで2022年6月に5 haほどの区画内で合計48本の広葉樹に印をつけた。胸高直径の平均は9 cm(標準偏差5 cm)、最大21 cm、最小1 cmだった。本数が多かった5樹種は順にシロダモ、ホソバタブ、シキミ、アカガシ、サカキで、胸高断面積が大きかった5樹種は順にシロダモ、ホソバタブ、アカガシ、ムクロジ、シキミだった。
四万十市西土佐の水源林施業地では、
森林整備センター
と西土佐村森林組合の職員と現地検討会を2022年9月に行なった。伐採予定のスギ・ヒノキ人工林を訪問し、高木性樹種を確認した上で、30 m四方に一本を目安に高木性の樹冠木を保持すること、樹冠木がなければ稚樹でも構わないといった方針を決定した。
両地とも施業後に再訪し、樹木の保持の状況を確認したいと考えている。
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*長倉 淳子, 小松 雅史, 平井 敬三, 大橋 伸太, 安部 功, 遠藤 宏之
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福島県川内村に3年生ヒノキ苗を原発事故後に植栽し、カリウム施肥区と非施肥区を設けた試験を2014月から現在まで行っている。このヒノキを用いて、1)カリウム施肥によるセシウム吸収抑制効果があったか、2)採取しやすい葉の放射性セシウム濃度から他の部位の放射性セシウム濃度の推定できるか、を確認した。2018年と2020年の秋に植栽木を8本ずつ採取し、各部位に分けて放射性セシウム濃度を測定した。2018年は根から掘りあげ、葉、枝、幹、根に分け、幹の高さ0cmから40cmは樹皮と材に分けた。2020年は根元から切り倒し、葉、枝、幹に分け、幹は高さ100cmから150cmは樹皮と材に分けた。樹体の放射性セシウム濃度は、材<枝<葉<樹皮であり、すべての部位でカリウム施肥区<非施肥区だった。葉と他の部位の放射性セシウム濃度には正の相関があり、決定係数は、2018年は、葉と樹皮は0.82、葉と材は0.93、葉と枝は0.97、葉と根は0.94であった。2020年は葉と樹皮は0.93、葉と材は0.98、葉と枝は0.99であった。これらの結果から、カリウム施肥は根からのセシウム吸収を抑制する効果があり、葉の放射性セシウム濃度から他の部位の放射性セシウム濃度を推定できると考えられる。
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*小松 雅史, 平井 敬三, 長倉 淳子, 野口 享太郎, 今村 直広, 眞中 卓也, 金指 努, 大橋 伸太, 橋本 昌司, 齊藤 哲, 山田 毅, 池田 重人, 荒木 眞岳, 矢崎 健一, 川崎 達郎, 金子 真司, 竹中 篤史, 荒家 武
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樹木による放射性セシウムの経根吸収の評価とカリウム施肥による吸収抑制効果を検討するため、2014年春にヒノキ苗を植栽し調査を行った。福島県川内村に0.225~0.250haの施肥区と非施肥区を各4プロット設け、施肥区ではカリウムとして83kg/haの塩化カリウム肥料を毎年施用した。成長終了期に各プロット5本の苗木と近傍土壌を深さ別に採取し、放射性セシウムの分析を行った。2015年および2016年に採取した苗の針葉・幹枝・根の放射性セシウム濃度は、施肥区の方が非施肥区より有意に低く、カリウム施肥による樹木の放射性セシウム吸収抑制効果が確認できた。2015年に非施肥区で採取した針葉では、土壌の交換性カリウム濃度が高いほど凝集移行係数(針葉の放射性セシウム濃度を土壌の放射性セシウム蓄積量で除した値)が小さくなる傾向にあった。つまり土壌の交換性カリウム濃度が大きいほど樹木への放射性セシウム吸収が低下することを示し、この結果はカリウム施肥の吸収抑制効果を裏付けると考えられた。毎木調査と苗木の掘り取りによる現存量調査結果から、成長に伴う放射性セシウム吸収量の変化についても報告する。
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*小松 雅史, 平井 敬三, 赤間 亮夫, 野口 享太郎, 長倉 淳子, 山田 毅, 大橋 伸太, 齊藤 哲, 川崎 達郎, 矢崎 健一, 池田 重人, 今村 直広, 梶本 卓也, 高橋 正通, 宮沢 一正, 伊藤 直, 山口 康弘, 滝沢 勝, 青木 勇
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土壌から樹木への放射性セシウム(
137Cs)の移行と、カリウム(K)施肥による移行抑制効果を検討するため、福島県川内村の新規植栽地において、長期モニタリング試験を開始した。2014年5月に50 x 50mプロットを8つ設定し、ヒノキ苗木を植栽した(約3000本 ha
-1)。植栽後の同年8月に各プロット5地点で土壌を採取した後、4プロットにKとして100kg ha
-1のKClを施肥した。堆積有機物層から深さ20cmまでの土壌の
137Cs蓄積量は平均で261kBq m
-2で、55%が堆積有機物層に、31%が土壌表層(0-5cm深)に存在していた。その後、2014年11月と2015年4月に、それぞれ各プロット1本および4本ずつヒノキ苗木を採取するとともに、近傍(約50cm横)の土壌を採取した。これらを合わせて解析した結果、ヒノキの葉の
137Cs濃度は近傍の土壌(0-5cm深)の
137Cs蓄積量と有意な相関が認められたが、K施肥区における葉の
137Cs濃度の有意な低下は認められなかった。一方で、根の
137Cs濃度はK施肥区において有意に低下していた。2015年4月には苗木と土壌の採取後に追加のK施肥を実施した。また、同年11月にも苗木と土壌の採取を行っており、新たに得られた結果についても報告する予定である。
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*八木橋 勉, 中谷 友樹, 中原 健一, 那須野 俊, 櫃間 岳, 野口 麻穂子, 八木 貴信, 齋藤 智之, 松本 和馬, 山田 健, 落合 幸仁
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これまでに,東北地方のコンテナ苗の樹高成長は,植栽時の苗の形状比が平均60程度の集団であれば,形状比が40-50の裸苗と同等以上であるが,形状比が平均100程度の集団では,裸苗と比較して劣ることがわかってきた。本研究では,同一地点における個体ごとの形状比と成長との関係に注目し,コンテナ苗と裸苗の成長を4成長期にわたって調査した。1成長期ごとの形状比と相対成長率の関係は,樹高相対成長率では,すべての成長期において,形状比とは負の相関があったが,特に1成長期目と2成長期目の相関が強かった。地際直径相対成長率では,すべての成長期において,形状比とは正の相関があり,特に1成長期目と2成長期目の相関が強かった。このことから,形状比が高い個体は,成長初期には樹高成長を抑え,直径成長を優先することが明らかになった。また,樹高の成長量に関しては,4成長期にわたる経時的データについて線形混合効果モデルを用いて解析した結果,形状比が高いことは樹高成長量に対しても,有意に負の効果があった。以上のことから,相対成長率だけでなく,樹高成長量に対しても,高過ぎる形状比は,負の効果があることが明らかになった。
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*金田 幸恵, 興梠 克久
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