本研究では, ケイ・タケイ (Kei Takei武井慧, 1939-) の代表作の一つとされる《ライト, パート12 (石の畑The Stone Field)》(1976初演) の作品特性を, 作品VTR (1979年日本公演時収録) 分析と批評文19件 (アメリカ9件, 日本10件) から明らかにすることを目的とした。
その結果, 《ライト, パート12 (石の畑The Stone Field)》では, 石を素材としたことが作品を特徴づけており,(石との関わりから生まれた限定的な動き・場面のみによる作品構成),(2) 石から発する音, タケイの歌, 群のかけ声による聴覚的効果,(3) 石の配置の抽象的美しさによる視覚的効果,(4) 黒い縦ラインの入った白い綿製衣装とタケイの顔に描かれた黒く大きなバツ印, 以上4点が, その他の《ライト》シリーズにはない特徴として抽出されるなどの結果を得た。また日米の批評家は共通して, 石の素材を生かした作舞と作品の簡素さを評価し, さらに日本の批評家は日本的要素を見出し, アメリカの批評家は《ライト》シリーズに共通の原始的特性や, 果てしない仕事に従事する人間達の姿をイメージしているなど, 日米批評家の相違点が明らかになった。
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