肺静脈頻拍(PVT)は発作性心房細動(PAF)のトリガーとなるのみならずPAFの持続維持にも深く関与している.今回,肺静脈隔離術(PVI)に関連して認められたPVTに対して肺静脈内焼灼を施行したPAFの4例について報告する.
症例1は69歳,女性.PVI後も左上肺静脈(LSPV)内に周期200msのPVTが残存し,LSPV内の異なる2点においてpost-pacing interval(PPI)が頻拍周期に一致しPVTの機序はリエントリーと考えられた.LSPV内の線状焼灼にてPVTは停止しPVTの誘発は不能となった.
症例2は59歳,女性.PVI前よりすでにLSPV内に周期150msのPVTが観察され,PPIはPVT周期に一致していた.LSPV内の1箇所の焼灼にてPVTおよびAFは停止し,PVTの誘発は不能になった.
症例3は68歳女性.PVI後に右上肺静脈(RSPV)内の高頻度ペーシングにて周期145msのPVTが誘発され,1箇所の焼灼にてPVTは停止し以後PVTの誘発は不能になった.
症例4はRSPV内にPVTを認めPVIにより洞調律化したが,その後もRSPV内には周期130msのPVTが持続していた.ATP静注にてPVTは停止したが,その数十秒後に再度隔離されたRSPV内でPVTが出現し持続した.PVTの機序はtriggered activityと考えられ,RSPV内の最早期興奮部位の1箇所の焼灼にてPVTは停止し誘発不能になった.PVTの機序はリエントリーとtriggered activityの両方の機序が存在し,いずれの症例も肺静脈内焼灼によりPVTは停止し誘発不能になった.
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