本研究では、中国地方の国立大学(鳥取大学、島根大学、岡山大学、広島大学、山口大学)を対象に、旧軍施設の転用実態を整理する。鳥取県では、鳥取農業専門学校が旧演習場を演習林や砂丘試験施設として使用したほか、鳥取大学学芸学部が郊外の旧兵営に移転したほか。岡山県では、罹災した第六高等学校や新設の県立岡山農業専門学校が、郊外の元第17師団の旧兵営や旧兵器補給廠に移転し、新制岡山大学のメインキャンパスとなった。広島県では、罹災した広島文理大学、広島高等学校、広島工業専門学校は一時的に旧軍の教育施設を使用後、旧校地に復帰した。罹災した広島高等師範学校と広島女子高等師範学校、非罹災の広島青年師範学校は、旧兵営や旧被服廠に移転して新制に移行した。罹災した広島県立医学専門学校は旧兵営や旧海軍関連の病院を使用し、旧制医科大学に昇格したが、広島市内への移転が新制移行の条件とされたため、旧兵器補給廠へ移転した。
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