消化率
に対する個体選抜を効率的に行う方法として,
消化率
と高い相関があり,しかも圃場で容易に調査できる形質の調査値から,個体の
消化率
を評価する方法が考えられる。前報では,オーチャードグラスの個体の
消化率
と,形態的・生理的形質の調査値の重回帰分析結果から
消化率
を推定する式を得た。本報では,形態的・生理的形質のみの調査を行い,
消化率
を推定式から算出し,この推定値に基づいて,高
消化率および低消化率
個体を選抜し,翌年には,1ステップセルラーゼ法により選抜個体の
消化率
を測定し,選抜の効果を調べた。供試した1488個体から1番草(各個体の出穂期)の
消化率
推定値に基づいて,高
消化率
,低
消化率
個体をそれぞれ51および42を選抜したが,これらの個体の翌年の測定
消化率
は選抜の方向と逆の結果になり,
消化率
推定値による選抜効果は認められなかった。2番草(8月下旬の再生草)では,高
消化率
,低
消化率
個体として選抜された52および44個体の翌年における測定
消化率
平均値は60.2%と57.0%となり,選抜効果が認められた。1番草の
消化率
に対する選抜が逆の結果になった原因として,晩生品種の出穂までの生育日数が1977年と1978年で大きく異なり,晩生品種の
消化率
は早生品種のそれに比較して相対的に出穂が早められた1977年で高く,出穂が遅れた1978年で低くなったことが考えられ,出穂の促進および抑制には気象要因が大きな影響を及ぼしていることが明らかになった。2番草の
消化率
では気象要因の影響が小さく,
消化率
推定値によるオーチャードグラスの個体選抜が可能であることが明らかになった。
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