症例は41歳, 男性. 発熱, 左肩痛を主訴とし, 胸部X線写真上異常陰影の精査目的で入院となった. 血液検査で, 著しい白血球増多と血清ALPの上昇を認め, 経皮生検で, 肺大細胞癌の診断を得た. CDDP+VDSによる化学療法で, 自覚症状は消失し, 白血球数, 血清ALP値もともに正常域に戻り, 腫瘍も縮小した. 3回の化学療法後, 胸壁合併切除+左上葉切除術を行った. 切除標本では, 巨細胞を伴う大細胞癌の病理診断で, 術後病期はpT3N0M0, Stage IIIA となった. 腫瘍細胞の homogenate, および腫瘍細胞培養上清よりCSF活性が証明され, また, 術前の血清G-CSF値が105pg/mlと高値であったことから, 本例における白血球増多は, 腫瘍によるG-CSF産生が原因と思われた. 本例は, 術後2年以上を経過した現在も, 再発の徴候無く, 健在である.
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