1990年から2004年までに分離され, 当所に保存してある髄膜炎菌100株を対象に, 髄膜炎菌性髄膜炎の主要治療薬剤及び予防投与剤合わせて12薬剤に対する薬剤感受性の調査を行った.
その結果, ペニシリン系薬剤であるbenzyl penicillin (PCG) のMIC
50とMIC
90は0.031μg/mL, 0.063μg/mLであり, 中等度耐性 (MIC 0.125~0.25μg/mL) を示す株が2株検出された.これら2株はampicillin (ABPC) に対しても中等度耐性 (MIC 0.25~1μg/mL) を示した.セフェム系薬剤については, cefotaxime (CTX) のMIC50およびMIC90はともに≦0.004μg/mL, ceftriaxone (CTRX) のMICは全て≦0.004μg/mLを示し, 今回調査を行った薬剤中CTRXが最も強い抗菌力を示した.カルバペネム系の3剤はmeropenem (MEPM), panipenem (PAPM), imipenem (IPM) の順に抗菌力が強く, MEPMはMIC
50が0.008μg/mL, MIC
90は0.016μg/mLと3剤中で最も低いMICを示した.Cipronoxacin (CPFX) のMICは97%の株が≦0.004μg/mLであったが, 耐性 (MIC 0.125μg/mL) を示す株が3株検出された.
なお, 患者および保菌者由来別のMICを比較したところ, MICの差は見られなかった.また, 血清群別によるMICについても著明な差は認められなかった.
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