Aztreonam (AZT)は, 米国スクイブ社で開発されたMonobactam系抗生物質である。本剤はL-Threonineから全化学合成されたβ-Lactam単環を有する新しいタイプの構造を持つ抗生物質である1)。
本剤の抗菌力の特徴としてはグラム陰性の桿菌及び球菌に対して強い抗菌力を示し, グラム陰性菌産生の各種β-Lactamase及びDehydropeptidaseに対し極めて安定であることである。しかし, グラム陽性菌嫌気性菌に対しては抗菌力が弱い1)。
本剤は注射により投与量に比例した血中濃度が得られ, その半減期は1.6~2.0時間とされている。体内では代謝されず未変化のまま尿中に高率に排泄され, 蓄積性はない1)。
本剤については, 昭和58年11月, 第30回日本化学療法学会東日本支部総会新薬シンポジウムで, 基礎的, 臨床的共同研究の成果が報告され, その有用性が評価された2)。われわれもこのシンポジウムの一環として本剤を産婦人科領域で検討し, その結果を報告した3)。
今回, 更に臨床的検討を追加して行い, 結果を得たので, 以下に報告する。
抄録全体を表示