リウマチ性疾患は自己免疫, アレルギーなどの免疫応答の異常による慢性炎症性疾患であり, 機能性リウマチ性疾患である線維筋痛症は慢性疼痛, 心身症のモデル的疾患である.
いずれも遺伝的要因, 環境要因, 心身のストレス要因などが発症と経過に関係し, 病態理解と診断, 治療のためには心身医学的な視点を必要とする疾患である. これらの疾患は人種, 民族を超えて共通の病態を呈していながら, 疾患のとらえ方や対応はさまざまであり, 世界的な流れをみるには国際的な情報交換や情報発信が重要である. 筆者はリウマチ学, 心身医学の専門的立場からリウマチ性疾患, 特に線維筋痛症の臨床に携わってきたが, 米国留学, 国際学会への出席, ドイツ心身医学会や他国の研究者との相互交流などを通して多くの心身医学的知見を得た. 日本では厚生労働省研究班, 日本線維筋痛症学会や研究会, 患者会が設立され, それぞれに心身医学的視点が重要視されるなど, 国際的にもユニークな展開をみせているが, これらの成果の国外への情報発信は十分とはいえない. 今後はより多くの研究者の参画を得て日本の心身医学の国際化を図りたい.
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