2020 年 4 巻 2 号 p. 218-220
本報告は、アメリカの記録管理標準であるDOD5015.2に準拠したアルフレスコを用いて、証拠能力を伴った形でどう電子記録を作成・管理していくかを検証する。まず、DOD5015.2を国防総省がどういう経緯で作成したか、その歴史的経過を追う。この中で、国防総省は、ブリティッシュコロンビア大学のUBCプロジェクトの成果を導入していた事実を指摘する。UBCプロジェクトは、ヨーロッパの伝統的なディプロマティクスとアーカイブズ学をもとに、電子記録の管理のあるべき姿について理論的考察を行なっていた。続いて、業務と記録管理のオープンソースのソフトウェアであるアルフレスコにおいて、UBCプロジェクトがどう実装されているかを確認する。実際に、文書のバージョン管理、作成者、受領者やアーカイブズ学特有の概念であるアーカイブ結合性も、XML形式のメタデータが作成されることで示されている。最後に、アルフレスコを利用する上での課題と展望を挙げる。