重篤な皮膚症状を呈した溶連菌感染症の3例を報告した。症例1 : 60歳, 男性。39度台の発熱, 右上肢の血疱, さらに左下腿の発赤, 腫脹が続発した。症例2 : 73歳, 女性。自宅での温熱マッサージ後に, 左足背の血疱出現。血小板低下を認めた。症例3 : 32歳, 女性。40度台の発熱, 血圧低下, 左膝周囲の激痛, 左下肢の発赤, 腫脹, 水疱を認めた。進行性の蜂巣炎に血疱, 水疱を伴っており壊死性筋膜炎様の皮膚症状を呈した。血疱, 皮膚穿刺液の細菌培養にて症例1および3は,
Streptococcus (以下
S.)
pyogenes (group A), 症例2は,
S.
dysagalactiae (group C) を検出した。また症例3においては咽頭粘膜からも
S.
pyogenesを検出した。重症の溶連菌による軟部組織感染症と診断し, 手術を検討しつつも, 劇症型A群連鎖球菌感染症 (toxic shock-like syndrome : 以下TSLSと略す) の治療に準じてアンピシリン (ABPC) の大量投与, γグロブリンなどの投与を行い保存的治療を行ったところ3例とも症状の改善を認めた。
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