74歳女性の顔面に生じた
Paecilomyces lilacinus感染症の1例を経験した.初診の約1年8か月前より自己免疫性溶血性貧血があり,プレドニゾロン,アザチオプリンを内服中である.約1年半前に右外眼角に褐色小局面が出現し,徐々に増大し,圧痛も伴ってきた.3か月前,通院中の病院の皮膚科を受診.日光角化症の疑いで生検を施行し,その結果深在性真菌症が考えられ,当科を紹介受診した.
現症:右外眼角から頬部にかけて,表面凹凸不整のわずかに隆起した褐色局面と,周囲に半米粒大の丘疹が散在.右頬部に小指頭大までの膿瘍が散在,軽度圧痛あり.菌学的検索より原因菌を
P.lilacinusと同定した.治療はまずグリセオフルビン500mg/日を3週間投与したが無効.次にイトラコナゾール200mg/日~300mg/日の連続投与を行い,最終的に400mg/日を1週間投与,3週間休薬するパルス療法を3クール行い皮疹は軽快し,現在経過観察中である.
抄録全体を表示