Hassab手術後に門脈血栓を形成した1例を経験した. 症例は51歳の男性. 肝硬変, 食道静脈瘤で外来通院中, 食道静脈瘤の増悪を認め, 内視鏡的硬化療法を施行するもRC (+) の食道静脈瘤ならびに胃静脈瘤の残存があり, また著しい汎血球減少症を認め, Hassab手術を施行した. 術後, 経口摂取開始とともに予防的にアスピリン81mg日の投与を行ったが, 肝内門脈ならびに肝外門脈に血栓を認めた. ただちに, ウロキナーゼ, 低分子ヘパリン, メシル酸ガベキサートの経静脈的投与を行ったところ, 数日後には血栓溶解が始まり, 10日後には, ほぼ肝内門脈, 門脈本幹の血栓が溶解された.
Hassab手術の合併症として, 門脈血栓症は重大であり, 術後, 血小板凝集抑制剤の投与とともに, 画像診断にて門脈血栓形成が確認されれば, ただちに血栓溶解療法を開始し, 十分な血栓溶解が得られれば, 抗凝固療法に変更することが肝要であると思われた.
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