1987年4月から1992年3月までの過去5年間に, 当科において入院治療を行ったうち全身麻酔下歯科治療を予定しない症例22名を対象として, 年齢, 性別, 合併疾患, 他科受診状況, 常用薬, 移動能力, 生活介助者, 入院時付添い者, 歯科処置内容, 入院期間及び受診方法を調査し, その概要は以下のようであった。
1.年齢別では60歳代が最も多く10名 (45.5%) で, 次いで50歳代が8名 (36.4%) と比較的年齢の高い層に多かった。性別では, 男女とも各11名で同数であった。
2.主な合併疾患では, 脳血管障害後遺症が13例 (59.3%) と最も多く, その他疾患の種類は広汎であった。
3.他科受診状況は, 内科が12名 (54.5%) で最も多く, 受診していない者は1名 (4.5%) であり, 常用薬の投与も受けていなかった。
4.自立歩行可能なものは2名のみで歩行に障害をもっ者が大部分を占め, 杖などの補装具, 車椅子といった介助用具を使用していた。
5.生活介助に, 配偶者があたっているものが8名 (36.5%) と最も多く, 介助を必要としないものは6名 (27.4%) であり, 入院中については, 付添い者を雇用したものが21名 (95.5%) とほとんどであった。
6.歯周疾患は全例でみられ, 歯科処置は抜歯が20例と最も多く全体の25.3%を占めた。
7.入院日数は最短3日から最長29日で, 平均11.8日であった。
8.入院のみで治療が完了した例は1例のみで, 他は通院, 往診を必要とした。
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