都内を流れる
神田
川流域と石神井川流域を対象として, 1974年から2003年における浸水発生域の変化と水害対策施設整備の進展を明らかにし, それらの空間的な対応関係を検討した。水害対策施設として, 下水道幹線・支線の整備, 河川改修, 分水路・調節池の設置を取り上げた。その結果, 両流域における浸水域は, 現河道の谷底低地を中心に大面積のものが多く分布する形態から, 水害対策の進展によってこれらの浸水域が減少して, 台地や暗渠河川の谷底低地に発生した小面積の浸水域が目立つようになった。このような浸水域の多くは, 1973年以前に下水道幹線が整備された暗渠河川の周辺で発生した。石神井川流域は,
神田
川流域に比べて都市化が遅く用地確保が容易であったため1974年以降に水害対策の施設整備が著しく進展した。そのため, 石神井川流域では
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川流域よりも早く浸水被害が減少した。
神田
川流域では, 支流の善福寺川で疎通能力の高い河川改修が先行して実施されたため, 合流点の下流側の
神田
川沿いで大面積の浸水域が発生した。
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