1969年から1997年に当科で切除した神経芽細胞腫を除く縦隔
神経原性腫瘍
62例(男性39例,女性23例,平均年齢35.9歳)を対象として検討を行った.腫瘍の局在は縦隔の右側37例,左側25例で, Th 4より頭側に存在する症例が多く,経時的な観察により36.8%で胸部X線写真上,腫瘤の増大を認め,有症状例での腫瘤は大きい傾向であった.発生神経は交感神経32例,肋間神経21例,迷走神経5例,横隔神経1例などであり,完全切除の方針で手術を施行した.しかし, 5例は全摘できなかったものの再発しておらず,また,悪性例も認められなかった.一方, Horner症候群などの術後合併症は23例に認めた.以上より本症は完全摘出が最も望ましいものの,特に機能障害が問題となる反回神経,横隔神経,および上部交感神経では神経機能の温存を考慮するべきであり,手術は低侵襲性の点から胸腔鏡下切除を第一に選択すべきと考える.
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