【目的】
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農村地域と沖縄県離島の児童・生徒の食生活習慣と食品摂取について明らかにし,健康と関わりの深い腸内細菌叢との関連を検討した。
【方法】調査期間は2018年3月〜7月である。調査対象者は同意の得られた児童・生徒で
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農村地域K町35名と沖縄県離島I村25名である。生活習慣調査票の内容は属性,生活習慣等の27項目である。食品出現頻度は3日間の食事実態調査を用いた。採便後の腸内細菌叢のNGS分析は(株)テクノスルガ・ラボに依頼した。解析はIBM SPSS Statistics ver.22を用いχ
2検定を行った。本研究は中村学園大学の倫理委員会の承諾を得た。
【結果および考察】食生活習慣では,食事時によく噛むが
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,沖縄県の対象者でそれぞれ71.4%,92.0%(p<0.05)であり,味噌汁を毎日1回以上食べるがそれぞれ20.0%,48.0%(p<0.05)であった。生徒の朝食で食品出現頻度の累積割合で80%に寄与する食品は
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,沖縄県でそれぞれ37品,39品であり,夕食でそれぞれ54品,65品であった。生徒の朝食で上位20品の累積割合が
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,沖縄県でそれぞれ69.2%,65.5%と違いが見られず,10品が共通し,野菜類は下位で多かった。腸内細菌の種数(多様性)と食生活習慣では,野菜料理を意識して食事に取り入れている人とそうでない人の種数はそれぞれ46.5±8.5,39.9±7.5であった(p<0.05)。以上より,
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に比べ沖縄県の対象者で食生活習慣が好ましいと考えられる。腸内細菌叢の多様性には野菜摂取の影響が示唆されたことから,児童・生徒の日常的な野菜摂取が重要であると考えられる。
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