【はじめに】
介護予防事業が市町村で幅広く効率的に実施するために,各市町村においてサポーター育成事業への取り組みが行われている.新潟市
秋葉区
ではサポーター育成のために3年計画の事業を企画し初年度事業が終了した.本報告の目的は,事業プログラム,参加者の特性を紹介し,次年度の課題を検討することである.
【事業プログラムの紹介】
計画の概要:本事業は22~24年度の3年計画で,毎年度啓発のための講演会,サポーター育成を行い,2年度からサポーターのフォローアップ研修も実施する.サポーターは地域ふれあいサロンでの指導を初年度から開始する.なお,本事業は倫理委員会の承認を受け,全員から書面による同意を得た.
事業プログラム:全プログラムは120分である.(1)レクリェーション20分,(2)ミニ講座20分,(3)実技指導40分,(4)グループワーク30分,(5)スタッフ会議10分,である.また,初回と最終回に参加者の体力測定の体験を行う.広報として「ロコモ通信」の発行,参加者によるポスターを作成した.2月の活動報告ではサポーターの活動回数50回,被指導延人数1187人,サポーター活動延人数186人であった.
【参加者の特性】
全参加者57名の内,アンケート・体力測定を行った者は52名(女47名,男5名)で,女性に限定して分析した.平均年齢66.8±6.8(43~78)歳,68%が定期的に通院,71%がボランティア活動を経験,90%がサークル活動を経験,70%が運動を実施している活発な集団であった.56%に関節痛が有り,その内,膝48%,腰41%,肩24%の順に多かった.動作時の関節痛は「正座,あぐら座,横座り」38%,「床から立ちあがる」29%,「階段上り下り」29%の順であった.「ロコモ」該当者は30%であったが,全員が「町外」まで活動していた.
【事業前後のアンケート】
講習会の参加動機は「体操に興味あり」「誘われた」「運動について学習したい」であった.全員が「体操は元気でいるために大切」だと思い,9割が体操することは「楽しい」と思っていた.体操普及で不安なことは「体操を覚えられるか不安」事業前41%→事業後25%,「人を集められるか不安」前32%→後36%であった.本事業(講習会)の参加したことを95%は「よかった」と考えていた.
【考察】
サポーターによる多数の被指導延人数は,1つの教室を開くセンター方式の方法では不可能であり,ここにサポーター育成の目的がある.また,参加者の多くが定期的通院や関節痛有りだが,活動的な社会活動,生活範囲を保っている集団である.事業への満足度は高いが,サポーターとして地域で活動するときに「人を集められるか不安」が解消されなかった課題が残った.
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