煮熟繭を夏季の気温30~35℃の温度の水中で1夜 (16時間)~2昼夜 (48時間) 保護するに当り, 煮熟繭の腐敗を防止するために, 防腐剤として第4級アムモニウム塩を主成分とするカチオン活性剤およびホルマリンを使用して, その防腐効果について調査した。
1. 煮熟繭を30~35℃の水中で1夜間放置するときは腐敗し始め, 1昼夜放置するときは腐敗して, 繭層は繰糸困難となる。
2. 防腐剤としてホルムアルデヒド (0.005%) を添加した水中では, 煮熟繭は1夜間までは完全に防腐できる。またこれを0.0075%以上の濃度で使用するときは, 約2昼夜まで防腐できる。
3. カチオンPB, カチオンM
2, ラザール, 逆性石鹸ミヨシ等のカチオン活性剤は, ホルマリンよりも防腐の効果は小さいが, いずれも0.01~0.02%の濃度で水中に使用すれば煮熟繭を1夜間, 0.03~0.05%の濃度に使用すれば1昼夜防腐できる。
4. カチオン活性剤の種類による煮熟繭の防腐効果には大きな差はない。
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