これまで小学校教職科目「理科教育法」では,「反省的実践家としての教師」の力量形成を目指して,小グループで模擬授業を行ってきた.ところが新型コロナウィルス感染症の感染拡大に伴い,グループ活動による模擬授業の準備が憚られることから,「一人1模擬授業」として,学生個々で学習指導案の作成から教材研究,模擬授業まで行うこととした.一人10分間で小単元の導入部分を必ず示範観察実験を伴って行うという条件で履修者28名が模擬授業を行い,20項目からなる授業診断票を用いて他者評価と自己評価を行った.各項目の平均値を比較すると,いずれの項目においても自己評価の方が他者評価よりも低く,18の項目について有意差が見られた.「一人1模擬授業」にすることで,グループのメンバー間での協働的な活動ができず,学生が一人で準備・実践した模擬授業に自信が持てなかったことが示唆された.
抄録全体を表示