大阪市では、現行の
緑の基本計画
である「大阪市
緑の基本計画
〈2013〉」が2025年度をもって計画期間が終了するため、現在「大阪市
緑の基本計画
〈2026〉」が検討されている。本論文では、2025年1月に公表された「大阪市
緑の基本計画
〈2026〉(素案)」と、この計画を議論している「みどりのまちづくり審議会」の資料を基に、「大阪市
緑の基本計画
〈2013〉」に基づく取り組みの内容と大阪市による自己評価を紹介したうえで筆者としての評価を行った。その結果、高木と中低木の合計本数の増加を根拠に緑の都市基盤は一定程度整備されたとしているが、高木を大量に伐採して高木本数を大きく減らしたことには触れていないこと、身近な緑の満足度が低下したのは緑が存在するのに実感されていないからという間違った認識をしていること、緑視率の調査方法に問題があること等が分かった。次に、大阪市
緑の基本計画
〈2026〉(素案)」の改善点・問題点を探ったところ、街路樹・公園樹に関する言及量の増加、目標樹形の設定等の改善点が見られた。また「大阪市
緑の基本計画
〈2013〉」で削除された「樹木樹林率」という指標の復活も確認できた。しかし、緑視率の測定箇所は追加はされるがなお集客エリアに偏っている、樹木の計画的な更新の具体的な内容が記載されていないためこれまでのような不適切な樹木の伐採が継続する懸念が残る、団体に所属していない市民と行政との連携・情報共有の方法が示されていない等の問題点も見つかった。次期計画のパブリック・コメント終了前にこれらの問題点を提示することで、より良い
緑の基本計画
が策定されることを願う。また、本論文で指摘した問題が他の都市部の自治体での次期
緑の基本計画
の策定の際に参考になると考える。
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