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クエリ検索: "繁殖干渉"
73件中 1-20の結果を表示しています
  • 京極 大助, 西田 隆義
    日本生態学会誌
    2012年 62 巻 2 号 239-245
    発行日: 2012/07/30
    公開日: 2017/04/27
    ジャーナル フリー
    近縁種間にしばしば認められる排他的な関係は長らく資源競争によってもたらされると考えられてきたが、多くの実証研究が行われたにもかかわらず、資源競争の重要性が示されたとは言いがたい。これに対し、
    繁殖干渉
    と呼ばれる配偶過程において生じる誤った種間での求愛行動などが、近縁種の関係を決定する上で重要であると考えられるようになってきた。
    繁殖干渉
    は相対的に個体数の多い種のほうが相手種に対してより強い悪影響を与える、すなわち頻度依存的にはたらくと考えられてきた。ここで本稿では
    繁殖干渉
    の強さを、
    繁殖干渉
    による個体の適応度の低下量と定義する。
    繁殖干渉
    はその頻度依存性によって正のフィードバックを生じやすく、そのため近縁種間の排他的な関係を説明する論理として資源競争よりも一般性が高いと考えられてきた。しかし相互作用する2種の総密度が大きく変化しても2種の頻度だけで
    繁殖干渉
    の強さを十分説明できるのかはこれまでほとんど問題にされてこなかった。実際には、総密度の変化が2種の頻度と
    繁殖干渉
    の強さの関係を変化させる可能性がある。また、配偶者選択のような行動が2種の頻度に応じて変化する場合には、
    繁殖干渉
    のはたらき方がこれまで考えられてきたよりも複雑になる可能性がある。個体が経験する
    繁殖干渉
    の強さは同所的に存在する同種個体・他種個体双方の個体数によって決まるため、
    繁殖干渉
    を考える上で個体群生態学的な視点は欠かせないが、我々の
    繁殖干渉
    に対する個体群生態学的な理解はあまり進んではいない。
    繁殖干渉
    がもたらす種々の生態学的・進化的な帰結を統一的に理解するためにも、
    繁殖干渉
    の個体群生態学的な研究が必要である。
  • 高倉 耕一, 西田 佐知子, 西田 隆義
    分類
    2010年 10 巻 2 号 151-162
    発行日: 2010/08/27
    公開日: 2017/03/25
    ジャーナル フリー
    Reproductive interference (RI) refers to negative interspecific interactions in which the reproductive activities of one species directly reduce the reproductive success of another species. RI can be observed in various events in plant reproductive processes, such as stigma clogging and pollen allelopathy. The most conspicuous feature of RI is its positive frequency dependence and its self-reinforcing impact via positive feedback: when two species exert RI on one another, the more abundant species exerts a more intense adverse effect on the reproductive success of the other and then becomes more abundant. Therefore, two species that exert RI on each other essentially cannot co-exist, even if the interfering effect is subtle. Increasing numbers of studies have verified the effects of RI in plants, but the phenomenon is still misunderstood. Here, we present a theoretical outline of RI, discriminating it from hybridization or pollen competition, and address its pivotal importance in the relationships between invasive plants and native relatives, the exclusive distributions of closely related species, and character displacement between these species.
  • 西田 佐知子, 高倉 耕一, 西田 隆義
    分類
    2015年 15 巻 1 号 41-50
    発行日: 2015/02/20
    公開日: 2017/03/25
    ジャーナル フリー
    繁殖干渉
    とは,繁殖の過程で他種から悪影響を受けることで起こる適応度の低下を指す.在来種に対する外来種からの
    繁殖干渉
    が確認された例は年々増加しているが,
    繁殖干渉
    の強さと両種の分布との関係については検証が始まったばかりである.そこで私達は伊豆の在来タンポポについて,外来タンポポ群との分布の関係と,外来タンポポ群からの
    繁殖干渉
    を調査した.その結果,在来と外来タンポポ群の局所的な密度には有意な負の相関がみられた.また在来の結実率は,外来タンポポ群の頻度が8割近くになるまで外来の頻度に応じた低下は見られなかったが,8割以上に増加すると急に低下した.本研究の結果から,伊豆の在来タンポポは外来タンポポ群からの
    繁殖干渉
    に概ね強いが,大量に外来タンポポ群が入り込むと存続が難しくなると予想できる.
  • 西田 隆義
    日本生態学会誌
    2012年 62 巻 2 号 287-293
    発行日: 2012/07/30
    公開日: 2017/04/27
    ジャーナル フリー
    生物の分布と個体数を、生物間の相互作用によって統一的に説明することは生態学のもっとも基本的な目標である。しかし、資源競争説が徐々に衰退するにつれ、統一的な説明のみこみは低下し続けているようだ。本論文では、近縁種間に潜在的にある
    繁殖干渉
    を説明の第一原理として取り込むことにより、分布、生息場所選択、ニッチ分割、競争排除、外来種による近縁在来種の急速な駆逐など、資源競争では説明が困難であった多様な生態現象が統一的に説明できることについてのべる。そして、過去の研究においてなぜ
    繁殖干渉
    がほとんど見逃されてきたかについて、資源競争や交雑の効果と比較検討することにより考察する。
  • *鶴川 千秋, 砂原 俊彦, 都野 展子, 高倉 耕一, 皆川 昇
    日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
    2012年 64 巻 A26
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/26
    会議録・要旨集 フリー
    ヒトスジシマカは世界中に分布を広げているが侵入した各地ではヒトスジシマカと近縁種との間で様々な相互作用が生じていると考えられる.種間交尾に代表される
    繁殖干渉
    もその一つである.最近様々な昆虫や植物において,
    繁殖干渉
    が種の置換を起こすメカニズムとしてこれまで考えられてきた以上に重要であることが認識されてきた.しかし蚊の種間関係における
    繁殖干渉
    の役割についてはほとんどわかっていない.我々は ヒトスジシマカが
    繁殖干渉
    によって近縁種にどんな影響をおよぼすかを明らかにするための研究を行うことにした.過去の研究からヒトスジシマカの雄は近縁種のAedes aegyptiAe. polinesiensisの雌に対しても積極的に交尾を試みて成功させ,相手の雌に瞬化しない卵を産ませることが知られている.このような場合雌は少なくとも1回に産み落とされる卵とgonotrophic cycle1回分の時間を無駄にすることになるので,繁殖成功度に与える影響は非常に大きい.一方でヒトスジシマカの供給源である日本ではもともと近縁のヤマダシマカがヒトスジシマカと共存している.我々はまず,このような長期にわたって共存する2種の間にも種間交尾による
    繁殖干渉
    が存在するか否かを実験によって明らかにすることを試みている.ケージ内で種間交尾が自発的に行われるか,ヤマダシマカ雌が種間交尾によって受ける負の影響はその後同種の雄と交尾することによって緩和されるかを検討した結果について報告する.
  • *大庭 伸也, 大塚 雅和, 砂原 俊彦, 園田 友理, 川島 恵美子, 高木 正洋
    日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
    2012年 64 巻 A25
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/12/26
    会議録・要旨集 フリー
    蚊は種によって繁殖水域サイズが異なる.一般に水域サイズの増加につれて捕食者も多くなるので,種ごとの繁殖水域サイズと捕食回避能力はリンクしている可能性がある.本研究では,コガタアカイエカ(コガタ)とヒトスジシマカ (ヒトスジ)に対して,天敵のキュー(ハイイロゲンゴロウを飼育していた水:天敵水)が及ぼす影響を産卵回避行動, ボウフラの行動,そして生活史形質の観点から調べた.天敵水と汲み置き水道水(対照水)を準備し,雌成虫の産卵行動を調査した.コガタは必ず天敵水ではなく対照水に産卵したが,ヒトスジは両方に産卵した.次に,天敵水と対照水に対し餌の有無を操作した4つの条件下でボウフラの行動観察を行った. 2種のボウフラとも対照水+餌なしの条件では積極的に潜水し,餌を探索するのが観察されたが,天敵水+餌なし条件ではコガタのボウフラは水面に定位する頻度が高くなった.最後に,ハイイロゲンゴロウが入ったケージを入れた容器(天敵存在区)または 空のケージを入れた容器(天敵不在区)を導入した容器で2種のボウフラを飼育し,幼虫期間及び成虫の体サイズを調査した.天敵存在区から羽化したコガタ成虫は天敵不在区に比べ体サイズが小さかった.以上から,コガタは天敵のキューを察知する能力に長けている一方で,ヒトスジは天敵のキューをあまり察知できないことが分かった.
  • 森井 清仁
    環動昆
    2022年 33 巻 4 号 161-166
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル オープンアクセス
  • 岸 茂樹, 西田 隆義
    日本生態学会誌
    2012年 62 巻 2 号 225-238
    発行日: 2012/07/30
    公開日: 2017/04/27
    ジャーナル フリー
    種間競争の結末は競争排除か共存のいずれかに終わるはずである。均一で閉鎖的な実験条件下で競争排除が容易に生じることは、不均一で開放的な野外環境下では資源分割による共存が生じうることを予想させる。したがって種間競争は野外の生物の資源利用様式を決定づける大きな要因と考えられてきた。資源競争の理論的予測によれば、競争排除が起きるためには、種間の強い密度依存効果が必要となる。Gauseが競争排除則を提唱して以来、多くの室内競争実験により競争排除が繰り返し観察されてきた。そしてそれらの結果から種間の強い密度依存効果の存在が推定されてきた。しかし競争排除を起こすほどの強い競争メカニズムを具体的に示した研究は少ない。我々は種の絶滅を引き起こす要因として、種間の性的相互作用である
    繁殖干渉
    に着目して研究を進めてきた。
    繁殖干渉
    は正の頻度依存性をもつため種の絶滅を起こしやすいことが予測されている。本稿ではまずマメゾウムシ2種を用いた一連の実験結果から、
    繁殖干渉
    の非対称な関係と競争実験の結果が一致することを示す。次に
    繁殖干渉
    のメカニズムを検討する。一般に繁殖の過程は多くの段階にわかれているため、
    繁殖干渉
    もその各段階で生じうる。交雑は繁殖の過程の最終段階で生じる
    繁殖干渉
    にあたる。これまで交雑が最も注目される一方、それより前の繁殖過程に生じる種間のハラスメントは見落とされてきた。本論文では、マメゾウムシの競争系において、遺伝的な痕跡が残らない種間ハラスメントの重要性を指摘する。最後に、これまで行われてきた多くの室内競争実験の結果を
    繁殖干渉
    の視点から再検討する。
    繁殖干渉
    がより一般的に種の絶滅を予測できる可能性を議論する。
  • 高倉 耕一, 松本 崇, 西田 佐知子, 西田 隆義
    日本生態学会誌
    2012年 62 巻 2 号 255-265
    発行日: 2012/07/30
    公開日: 2017/04/27
    ジャーナル フリー
    種間に生じる
    繁殖干渉
    が生態学的に重要である理由は、この相互作用が種間の排除を最も強力にもたらすためである。一方で、外来生物による在来種の排除には多くの例が知られているにもかかわらず、外来種による
    繁殖干渉
    についてはほとんど研究例がなかった。西日本固有種で主に都市部での減少が注目されるカンサイタンポポを材料とした一連の研究により、野外において近縁外来種セイヨウタンポポの比率が高いほど在来種の結実率が低下すること、その直接的な要因が外来種からの種間送粉であること、その範囲が数メートルの規模におよぶこと、などが明らかになってきた。タンポポ類におけるこれらの研究は、
    繁殖干渉
    が、外来種が在来生態系に影響を及ぼす際の重要なメカニズムであることを示す一つのケーススタディになりつつある。本研究ではカンサイタンポポ個体群が衰退した要因としての
    繁殖干渉
    の重要性を更に検討するため、個体ベースのシミュレーションモデルを構築した。モデルには、既存研究で明らかにされた
    繁殖干渉
    に関わるパラメータに加え、野外において死亡率など両種の個体群動態に関わるパラメータを測定して用いた。シミュレーション解析の結果より、野外で観測される
    繁殖干渉
    の強度は1世紀程度の時間で在来種を衰退させるのに十分であること、その効果は人為的な撹乱がもたらす死亡率の増加によって増強されることなど、カンサイタンポポについて観測されてきたパターンと整合性が高いことが確かめられた。また、複数の外来種管理プログラムについて在来種個体群存続に及ぼす効果を検証し、より低コストで効果的な在来種保全手法についての提言を行った。これらの成果は、
    繁殖干渉
    の研究が在来種の衰退要因を理解する上で重要であるだけでなく、その保全においてもコストパフォーマンスに優れた対策の選択に貢献することを示している。
  • 奥崎 穣, 高見 泰興, 曽田 貞滋
    日本生態学会誌
    2012年 62 巻 2 号 275-285
    発行日: 2012/07/30
    公開日: 2017/04/27
    ジャーナル フリー
    生態的に似た複数の近縁種が共存するには、種間の資源競争あるいは
    繁殖干渉
    が緩和される必要がある。オサムシ科オオオサムシ亜属は、成虫期に多食性の捕食者であるが、幼虫期はミミズ専食である。またオスは異種のメスに対しても交尾行動を示す。彼らは分布域の大部分で2-3種が共存しており、同所的に分布する種間では体サイズが異なっている。この種間の体サイズ差は、幼虫期に捕食可能なミミズのサイズに応じた資源分割をもたらし、資源競争を緩和するかもしれない。また成虫期に異種間の交尾行動を機械的に妨げる生殖隔離として、
    繁殖干渉
    を緩和するかもしれない。この2つの仮説を、京都に分布するオオオサムシ亜属4種(山間部の大、中、小型の3種、平野部の大型1種)を用いて検証した。まず、4種の幼虫(1-3齢)に様々なサイズのミミズを与えた。その結果、すべての幼虫は、ミミズのサイズに関わらず捕食行動を示した。またミミズのサイズ増加に伴う捕食失敗は、小型種の1齢幼虫期でのみ観察された。したがって、種間の体サイズ差は資源分割に有効ではないと考えられた。次に、4種の成虫で16通りの雌雄ペアを作り、交尾行動(交尾意欲、マウント、交尾器の挿入、精包形成)を観察した。その結果、体サイズ差が大きい異種ペアでは、交尾意欲があっても交尾器が届かず、挿入ができないペアが多かった。すなわち、種間の体サイズ差による交尾前生殖隔離が成立しており、このことが体サイズ差の大きい近縁種の同所的分布を可能にしていると考えられた。一方、体サイズ差が小さい異種ペア(山間部の大、中型種と平野部の大型種のペア)では、大半のペアで交尾器の挿入が行われ、精包形成まで達成するペアも見られた。このことから、体サイズの似た種が同所的に分布しないのは、資源競争ではなく
    繁殖干渉
    のためであることが示唆された。
  • 本間 淳, 岸 茂樹, 鈴木 紀之, 京極 大助
    日本生態学会誌
    2012年 62 巻 2 号 217-224
    発行日: 2012/07/30
    公開日: 2017/04/27
    ジャーナル フリー
  • 植物地理・分類研究
    2022年 70 巻 1 号 105
    発行日: 2022/05/20
    公開日: 2022/11/18
    ジャーナル オープンアクセス
  • 鈴木 紀之, 大澤 直哉, 西田 隆義
    日本生態学会誌
    2012年 62 巻 2 号 267-274
    発行日: 2012/07/30
    公開日: 2017/04/27
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は寄主特殊化における
    繁殖干渉
    の重要性を主張することである。多くの動物は寄主の周辺で繁殖を行うため、資源利用の仕方と繁殖成功は深く関わっていると考えられる。しかし、資源競争の効果が疑問視されてから、寄主特殊化の研究において同じ栄養段階に属する種間の相互作用はほとんど注目されることなく、
    繁殖干渉
    の重要性も評価されていない。そこでまず、寄主特殊化の要因として従来考えられてきた昆虫と寄主との共進化について、現在得られているパターンを整理する。昆虫学、化学生態学、分子系統学といった学問分野の成果を引用しながら、共進化の概念だけでは寄主特殊化を十分に説明しにくいことを示す。次に、捕食性テントウムシのクリサキテントウHarmonia yedoensisとその近縁種であるナミテントウHarmonia axyridisを用いて私たちが進めている実証研究について紹介する。クリサキテントウはナミテントウからの
    繁殖干渉
    を避けるために捕まえにくいアブラムシに特殊化したという仮説を検討する。最後に、実証研究の結果をもとにして、寄主特殊化の鍵となる昆虫の産卵選好性の進化について議論をし、寄主特殊化における成虫の行動の重要性を指摘する。
  • *廖 思米, 富樫 一巳
    日本森林学会大会発表データベース
    2011年 122 巻 D22
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/22
    会議録・要旨集 フリー
  • 小沼 順二, 千葉 聡
    日本生態学会誌
    2012年 62 巻 2 号 247-254
    発行日: 2012/07/30
    公開日: 2017/04/27
    ジャーナル フリー
    分布の重複する2種が、異所的な個体群間では同様の形質値を示す一方で、同所的な個体群間では異なる形質値を示すことがある。形質のこのような地理的パターン形質置換とよばれ、種間相互作用が形質分化に影響を与えたことを示す重要な証拠となる。形質置換は、「生態的形質置換」と「繁殖的形質置換」の2つに分類される。生態的形質置換とはフィンチのくちばしやトゲウオの体型のように、資源利用に関わる形質の分化パターンのことであり資源競争がその主要因として考えられる。一方、繁殖的形質置換とは体色や鳴き声など繁殖行動に関わる形質の分化パターンのことであり、交配前隔離機構の強化の結果生じる分化パターンをさす。種間交雑によって生じるコスト、すなわち「
    繁殖干渉
    」を避けるように、交配相手認識に関わる形質が種間で分化するパターンといえる。これまで多くの生態的形質置換研究事例が報告されてきたが、実際それらにおいて種間競争を示した研究は非常に少ない。そこで我々は「生態的形質置換と思われている形質分化パターンの幾つかは実際には資源競争が要因ではなく
    繁殖干渉
    によって生じたのではないか」という仮説を立てた。特に体サイズのように資源利用や繁殖行動両方に関わる形質の分化では、資源競争の効果を考えなくても
    繁殖干渉
    が主要因として働き形質分化が生じる可能性を考えた。そこで同所的種分化モデルを拡張したモデルを用い本仮説の理論的検証を行った。その結果、たとえ種間に資源競争が全く存在しないという条件下においても資源利用に関わる形質が隔離強化の結果として2 種間で分化し得ることを示すことができた。この結果は、
    繁殖干渉
    が種間の形質差を導く主要因になり得ることを示している。
  • 川上 僚介, 川本 朋慶, 西尾 正輝
    魚類学雑誌
    2020年 67 巻 2 号 259-264
    発行日: 2020/11/05
    公開日: 2020/11/14
    [早期公開] 公開日: 2020/08/20
    ジャーナル フリー

    Reproductive interference and inhibition of reproductive behaviour between two sympatric bitterlings (Itasenpara bitterling, Acheilognathus longipinnis, and rosy bitterling, Rhodeus ocellatus ocellatus) were observed in the Moo River, Himi City, Toyama Prefecture, Japan. Male rosy bitterling and female Itasenpara bitterling individuals formed pairs, subsequently exhibiting interspecific reproductive behaviour. However, female Itasenpara bitterlings failed to lay eggs. Furthermore, rosy bitterlings attacked male Itasenpara bitterlings that defended territories around freshwater mussels, resulting in the latter abandoning their territories. This is the first report of rosy bitterlings negatively impacting the reproductive behaviour of Itasenpara bitterlings.

  • *蘇 彰宏, 鶴田 燃海, 向井 譲
    日本森林学会大会発表データベース
    2015年 126 巻 P1B054
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/23
    会議録・要旨集 フリー
    戦後の拡大造林のために、毎年春にスギやヒノキの花粉が大量に飛散している。これらの花粉を他のヒノキ科樹種の胚珠が受粉してしまうと、同種花粉との受粉を妨げられ、
    繁殖干渉
    が起きる可能性がある。天然林内で実際に
    繁殖干渉
    が起こっているかを確かめるためには、空中花粉および胚珠内に取り込まれた花粉の樹種判別を行う必要がある。そこでコピー数の多い葉緑体DNA領域を対象として花粉1粒からの樹種判別可能なマーカーの開発を試みた。
    DNAデータベースに登録されているヒノキ科樹種の葉緑体DNAのtrnL~trnF領域の塩基配列より、種特異的な多型領域を探索した。ギャップの長さが異なるtrnLのイントロンを増幅するようにnested PCRプライマーを設計した。
    ヒノキ科の複数樹種の葉から抽出したDNAを鋳型とし、開発したマーカーを用いてPCR増幅を行ったところ、期待される増幅断片長の違いを変性アクリルアミドゲルによる電気泳動により確認できた。またスギ、ヒノキ、サワラの雄花より集めた花粉を1粒ずつ単離し、プロテアーゼKを用いた手法により花粉1粒からDNAを抽出した。開発したマーカーは、花粉1粒から抽出したDNAからも増幅が確認され、3樹種の判別が可能であった。
  • 向峯 遼, 徳永 幸
    日本生態学会誌
    2022年 72 巻 2 号 169-
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/10/22
    ジャーナル オープンアクセス
    マメゾウムシ類のアズキゾウムシのオスとヨツモンマメゾウムシのメスにおいては、種間交尾が
    繁殖干渉
    を引き起こすことが知られている。ヨツモンマメゾウムシでは交尾行動中にメスの後脚によるキックが、交尾を通じて生じるメス交尾器の損傷を低減する役割があると考えられている。さらに交尾器の損傷は種間交尾が生じた際にも見られることから、種間交尾におけるキック行動は
    繁殖干渉
    に影響を及ぼす可能性があると考えた。この仮説の検証のため、地理的に異なる個体群から採集されたヨツモンマメゾウムシの2系統を用いて、後脚の形態の測定、アズキゾウムシのオスとの種間交尾行動観察、アズキゾウムシのオスと同居させた場合の生涯産卵数の測定を行った。形態形質の測定から、系統間で体サイズの平均値は異なり、体サイズの増加に伴って後脚の長さや太さが増加する傾向が見られた。行動観察から、体サイズが大きい系統ほど交尾行動の中でキックを行う頻度が高いことが明らかになった。同居実験から、体サイズの小さい系統と異なり体サイズが大きい系統では、アズキゾウムシのオスの同居による産卵数の減少が見られなかった。これらの結果から、アズキゾウムシのオスとヨツモンマメゾウムシのメスの間で生じる種間交尾に関係する行動は系統ごとに異なり、さらに交尾時間の長さが
    繁殖干渉
    の程度に影響する可能性が示唆された。
  • *加藤 敬介, 向井 譲, 鶴田 燃海, 安藤 正規
    日本森林学会大会発表データベース
    2018年 129 巻 P1-076
    発行日: 2018/05/28
    公開日: 2018/05/28
    会議録・要旨集 フリー

     サワラはヒノキ科ヒノキ属に属する針葉樹である。現在、広域に植栽されたヒノキ人工林から飛散する花粉が、サワラの胚珠に誤って取り込まれることで

    繁殖干渉
    を引き起こし、種子の充実率を低下させる可能性が指摘されている。しかし、種子の充実率は
    繁殖干渉
    以外にも、胚珠が取り込む花粉の個数や種類により様々な影響を受ける。花粉を取り込まなかった胚珠は充実種子にならない。また、多くの胚珠が自家花粉を受粉した場合、胚致死遺伝子がホモ接合になる確率が上昇し、近交弱勢がはたらくことで充実率は低下する。以上のことを考慮すると、
    繁殖干渉
    が実際に生じているか判断するには、胚珠が受粉してから種子が成熟するまでの過程で作用する様々な要因を考慮したモデルを構築し、解析する必要がある。本研究では、受粉率と近交弱勢の影響を考慮した充実率推定モデルを構築することを目的とし、自然受粉における胚珠の受粉率、種子の充実率と自殖率を測定した。加えて、自家花粉および他家花粉を人工交配させた胚珠の受粉率と、その種子の充実率をそれぞれ測定し、近交弱勢による充実率の低下の程度を推定した。

  • 高倉 耕一, 井上 昭也
    環動昆
    2020年 31 巻 2 号 43-50
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/26
    ジャーナル オープンアクセス
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