(1) 湿田粘質土壌は一般に高い含水量, すなわち, 含水比75~81%のもとでキ裂を発生し, その発達は長時間に及び, その停止は他土壌に比べ低い水分条件で起る。
(2) キ裂発生後は表面蒸発に内部蒸発が加わり, 内部蒸発はキ裂幅に比例して蒸気圧コウ配の増加による蒸発量の増大となるから全蒸発量はキ裂が発生しない場合より大である。
(3) キ裂平均間ゲキ比と含水比との関係は次のとおりである。
1/
n・
νf/ν/Vf/V= (1-
e-a/w)
(4) 浸透径路分類系における (イ),(ロ),(ハ),(ニ) においてほ浸透量
Qはほぼ次の関係をとったが.(ホ) は例外的に大である。
log
Q=
a+
b (1/
n・νf/ν/Vf/V)
(5) キ裂の増大とともに側方浸透量の鉛直浸透量の割合が急増する。
(6) キ裂による浸透の経年変化は, 初年度はその浸透量はA, B, C各部ともこの順に大で, 植付け準備期, 水稲生育期を通じてその差なお大であり, 4年後においてA, C部分の差は縮少するが, 両期ともキ裂発生前同期の浸透量の最大値より若干大である。なお本研究は昭和31年度文部省科学研究費によるものであることを付記してここに深甚なる謝意を表する。
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