【目的】
茶筅
が他の攪拌器に比べて著しい泡立ちを示すのは、空気の導入が行われやすいためと考えられる。前回は
茶筅
の種類や硬さについて検討し、内穂が泡立ちに関与することを示唆した。今回は、内穂や外穂の形状が泡立ちに及ぼす影響を検討した。また、
茶筅
作りの工程で行われる味削りやしごきの影響についても起泡試験を行った。
【方法】
茶筅
は、市販品に準じた形状のものを対照とし、内穂をしばり一本の棒状にしたもの、内穂をとり外穂のみとしたもの(一重
茶筅
)、および穂数を製造段階で半分程度にした二重
茶筅
を使用した。また、あわせて、味削りをしないもの、しごきの回数を変えたもの(0,1,3,5回)についても比較した。抹茶は、市販の中級抹茶(2100円/100g)を用い、抹茶茶碗に抹茶1gと80℃の温湯50mlを入れ、400回/分の速度で30秒攪拌し、90秒および10分後の泡沫容積を測定し、起泡力と安定度を求めた。
【結果】
対照の
茶筅
は、起泡回数を重ねるに従い内穂がほどけていくことが確認された。内穂を棒状にした
茶筅および外穂のみの茶筅
は、対照に比べ起泡力がかなり低くなった。穂数を減らした二重
茶筅
は、外穂のみの
茶筅
に比べ起泡力が著しく高くなり、穂の数が同程度であれば、内穂があることによって泡立ちがよく、泡の細分化には内穂が深く関わっていることが明らかになった。味削りのない
茶筅
は穂先が硬くささら状であり、泡沫容積および泡膜液容積ともに低く、泡立ちが悪かった。しごきの回数による泡立ちの違いは見られなかった。
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