強酸性樹脂および強塩基性樹脂より製造した不均質イオン交換膜における典型的な陽イオンの選択透過性を, 7 室電解槽により検討した。各室は予かじめ原液をみたしておき,希釈室では液を下方から上方へ流しつづけながら一定電流密度(2A/dm
2)で電解透析を行ない,真中の濃縮室の試料液について毎時間ごとに各イオンの定量を行なった。イオンとして2成分系は(Na,Ca),(Na,Mg),(Ca,Mg),(NH4,Mg)の4種類について,3成分系ではCa
2+,Mg
2+を共通成分として,第3成分としてそれぞれH
+,K
+,NH
4+,Na
+を加えて行なった。原液の濃度は各成分約0,05Nを標準とし,Na+のみ例外的に0.5Nとした。2~4時間の電解透析において選択透過係数,すなわち当該イオンの濃縮比の比を比較した結果,選択透過性の順序はH
+>K
+>NH
4+>Ca
2+>Mg
2+>Na
+となった。成分の濃度が希薄になる程その成分の選択透過性は大となる。また3成分系の場合Ca
2+とMg
2+とは相伴なわれて透過する傾向があることを認めた。
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