本研究は, 箱庭について語ることで制作過程を通じて生まれたイメージはどのように変容していくのか, そして, 箱庭を言葉にする際にはどのような体験がなされているのかについて検討していくことを目的とした。30名の参加者は箱庭を制作し, その作品について自由に語った。その後, インタビュー, 置き直し, SD法を施行し, その体験について尋ねた。
その結果, 参加者は4つの体験型に分類された。無変化型では, イメージは変化しないが, 言葉にしている際に見守り手を意識するような体験があったことが語られた。鮮明化型では, 言葉にすることでイメージをより深く鮮明に味わうようになる体験が見られ, ストーリー化型では, 言葉にすることでイメージが広がり, まとまりをもって感じられるようになる体験が見られた。客観化型では, 言葉にすることで作品に違和感を抱くようになり, イメージと言葉がうまく結びつかないと感じる体験が見られた。これらのことから, イメージと言葉の多様な結びつきを示すことができ, 制作後に箱庭を言葉にすることは, 箱庭療法の治療の流れに関わる重要な体験を含んでいることが示唆された。
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