公立文化会館は、地方自治法上で「公の施設」と規定されているが、1963年の同法の改正前には「営造物」の語が用いられていた。営造物には、その設置目的に即した物的施設と人的手段の総合体という認識があったが、公の施設では、物的側面のみが強調されるきらいがある。今日、指定管理者制度の導入に伴い、文化会館には使命、目的、日標の明示が求められているが、その際に、かつての営造物概念を想起することが必要になっている。本稿は、第1に、このような文化会館の営造物としての性格を検討する。
また、文化会館は、住民等がこれを利用する場合は、申請に対する許可という
行政行為
(処分)の形式がとられる。指定管理者の指定も、議会の関与を含む
行政行為
(処分)とされている。しかしながら、給付行政の観点からは、これらは、実質的には契約関係として把握することが適当である。本稿は第2に、このような、文化会館に係る住民の利用関係及び指定管理者の指定の性格に関する文化行政法上の位置付けについて検討する。
抄録全体を表示