第一次分権改革による機関委任事務制度の廃止にともない,自治体の条例制定権は自治体の行政機関が執行するすべての事務に及ぶようになった。条例の議決権を有する自治体
議会
の権限が,制度的にみれば大幅に拡大したのである。その後,自治体内発的には
議会
の活動理念や,それ以前にはあまり行われていなかった
議会
活動の実施を規定する
議会
基本条例の制定などによつて,
議会
改革を進めることが全国の自治体に広がった。
議会
基本条例が全国ではじめて制定されたのは,2006年に北海道栗山町においてであった。その後12年余の間に全国の800をこえる数の自治体に広がった。法律による策定の義務付けがあるわけではない同条例が,これだけの広がりをみせたのは,自治体
議会
の中に改革の必要性,必然性に対する認識が広範に存在していたことを推察させる。そして,
議会
による議案審議の活性化と,
議会
,議員による政策立案の強化は
議会
基本条例の一般的な規定内容として定着している。並行して地方自治法の改正による自治体
議会
の組織や運営に関する自由度を増す制度の改定が随時行われてきた。このように,自治体
議会
については2000年代半ば以降,内発的な改革と法律による制度面の改革が並行して進み,自治体
議会
の公共政策に関する活動条件は大きく変化して今日に至っている。しかしながら,長が提出する政策議案の審査結果が,大多数が原案可決であることや,議員提案,委員会提案による政策条例の制定数は,自治体
議会
全体の数に対してごく一部の例外的な実績にとどまっている。それならば,自治体
議会
の公共政策に対する役割や影響力は,この時期の一連の
議会
改革を経ても,変わっていないと評価すべきなのだろうか。外形的に確認しやすい指標にはあらわれにくい,何らかの成果はあがっているとみるべきなのだろうか。観察された限られた事実を踏まえて,今後検証していくべき論点について確認する。
抄録全体を表示