新型コロナウイルスの拡大を防ぐため,休校・リモートワークが増加し,DVや虐待の増加が懸念されている。本研究は,緊急事態宣言に伴い自宅で過ごす時間が長期化する中で,
逆境的小児期体験
が,日常の気分や幸福感,セルフコンパッションなど及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。調査は2020年4月にwebを利用して実施し,
逆境的小児期体験
,POMS2短縮版,日本語版セルフコンパッション尺度,主観的幸福感尺度の他,新型コロナウイルスに関する項目などで構成され,711人から回答が得られた。
分析の結果,
逆境的小児期体験
が高い者ほど,“抑うつ-落ち込み”や“怒り-敵意”といったネガティブな気分が高まっていることがわかった。また,セルフコンパッションのself-judgementが高い傾向がみられ,自己批判的な傾向が高まることがわかった。さらに
逆境的小児期体験
がある者は,新型コロナウイルスへの不安が高く,幸福感が低い傾向が見られた。これらの結果については,新型コロナウイルスの影響が及ぼす程度は不明であるため,今後さらに調査を行い検討すべき課題であろう。
抄録誤字訂正
(誤)
さらに,性的被虐待体験のある者は,セルフコンパッションのself-judgementが高い傾向がみられ,自己批判的な傾向が高まることがわかった。
(正)
また,セルフコンパッションのself-judgementが高い傾向がみられ,自己批判的な傾向が高まることがわかった。
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