【目 的】 経済学のアプローチから、居
酒屋
で禁煙を実施した際に、口コミサイトの評価が悪化するかどうかを定量的に明らかにする。
【方 法】 飲食店のレビューサイトの口コミ評価や店舗の特性に関する2012年から2016年までのパネルデータ(追跡データ)を構築し、計量経済学の分析手法を用いて、禁煙の実施が居
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の人気度に与える影響を統計的に推定した。
【結 果】 禁煙や分煙の実施は口コミ評価の得点でみた居
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の人気度に対して、統計的に有意な影響を与えていなかった。
【考 察】 居
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の禁煙実施が顧客からの口コミ評価に影響を与えないという推定結果からは、喫煙環境が顧客の店舗選択の要因になっていない可能性や、たとえ喫煙者の需要が減少したとしても非喫煙者の需要が増加するためにネットでみた需要の変化は生じない可能性が示唆される。
【結 論】 居
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で禁煙を実施したとしても、顧客からの評価が下がり、喫煙可能な競合店に顧客がシフトし、売上高が減少するとは考えにくい。よって、健康被害を防止することを目的に、政府や自治体、顧客が居
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に禁煙や分煙の実施を要請することは、経済学的な観点からみても正当化することができる。
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