【背景】
心疾患患者に対する心肺運動負荷試験の代用評価として6 分間歩行距離(6MD) の測定が汎用化しているが、両指標の年代ごとの関連は明らかでない。
【目的】
心疾患患者における年代別のpeak VO2 と6MD の関連を明らかにすること。
【対象と方法】
2014年1月から2017年1月に、外来心臓リハビリテーションに参加し、運動耐容能(peak VO2、6MD) を評価した131 名
( 男性93 例、50 ~86 歳) を対象とした。対象を年代別に分類し、peak VO2 と6MD の関連を比較検討した。また各種臨床データを調査し、年代間で比較検討した。統計学的判定における有意確率は5% 未満とした。対象者には研究の趣旨を説明し同意を得た。
【結果】
peak VO2 と6MD の関連は、各年代でそれぞれ関連を認めた(50 代(r=0.68)、60 代(r=0.63)、70 代(r=0.50)、80 代(r=0.64))。
臨床データと両指標の関連をみると、EF は60 代以下でpeak VO2(50 代(r=0.55)、60 代(r=0.48))、6MD(50 代(r=0.66)、
60 代(r=0.48))と関連を認め、膝伸展筋力体重比は70 代以上でpeak VO(2 70 代(r=0.43)、80 代(r=0.39))、6MD(70 代(r=0.46)、
80 代(r=0.72))と関連を認めた。骨格筋量体重比は60 代以上でpeak VO2 と関連を認めたものの(60 代(r=0.31)、70 代(r=0.31)、
80 代(r=0.80))、6MD との関連はほとんど認めなかった。臨床データを比較すると、各年代間で運動器疾患と慢性腎臓病の有病率は、年齢が高くなるほど有意に高値を示した。
【結語】
peak VO2 と6MD は、臨床背景の異なる年代別にみても同等に関連するが、運動耐容能に影響を及ぼす因子は各指標や年代により異なる。
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