茶生葉の長期貯蔵法としてCA貯蔵の試験を前回
2)より行っているが,今回はCA貯蔵後の化学成分の変動を明らかにすることを目的として研究を進めた。用いた調整ガスは炭酸ガス濃度が5%であり,酸素濃度は10%, 5%, 2%(それぞれA区, B区, C区)の三種であり対照としては空気を用いた。
貯蔵葉の呼吸状態を酸素と炭酸ガスの収支から推定したが,呼吸商の大きい二つのピークが対照区を除いた各区で, 4日目と7日目に認められた。このピークの大きさはC区, B区, A区の順であり,酸素濃度の低い区ほど高かった。また貯蔵後8日目よりエチレンを測定したが,エチレンの発生量は対照区が最も多く, A区, B区, C区の順であった。さらに貯蔵日数の長くなるにつれて発生量が多くなり,対照区には14日目で4.05μl/kg/hr.となった。
タンニン,カフェインは貯蔵することにより変動がほとんど認められず,二週間後にタンニンがやや減少した程度であった。アスコルビン酸は貯蔵することにより激しく減少したが,特に還元型アスコルビン酸の減少が著しかった。各試験区間では酸素濃度の高い区ほど減少が著しかった。アミノ酸についてはグルタミン酸,アスパラギン酸,グルタミン,アスパラギン,テアニンの5種類の分析を行ったが,これらのアミノ酸の増減には一定の傾向が認められなかった。(しかし各試験区間の差異をみると対照区では他の三区よりアミノ酸の増減幅がやや大きい傾向を示した。終りにのぞみ,アミノ酸の自動分析について種々の御配慮をいただいた静岡県茶業試験場化学研究室,小野田技官に謝意を表する。
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