兵庫県上郡町の安室川では, 2004年1月の調査で9年ぶりに淡水産紅藻チスジノリ (
Thorea okadae) の配偶体の生育が確認された。安室川のチスジノリは水中の石やコンクリート壁に着生していた。チスジノリが多く出現した場所の水深は20~100cm, 流速 (表層) は14~84cm s
-1の範囲にあった。1991年から2004年までの, チスジノリ配偶体の出現状況と河川流量変化との関係を解析した。その結果, 日平均流量最大の洪水が夏期 (7~8月) に発生し, それ以降に大きな洪水がなかった場合に, その年の秋から翌年の春にかけて配偶体は多数出現する傾向にあることが示唆された。なお, 下流側の調査地点 (C区域) では, 川床の石に着生するチスジノリの胞子体 (
Chantransia stage) も見出された。
抄録全体を表示