1971年より1993年の間に, 北里大学病院において15歳以下の小児末期腎不全患者102例に透析が導入された. 初回透析導入時の内訳は, 血液透析が48例, 腹膜透析が54例であった. これらの透析患者のうち6歳以下の小児は24例で, 血液透析, 腹膜透析において占める比率は各々3例 (6%), 21例 (39%) で, 低年齢患者において腹膜透析が多く導入されていた. 102例中44例の患者に腎移植が行われた. このうち41例が生体腎移植, 3例が死体腎移植であった. この102例の患者の10年生存率は72%であった. これを1980年以前とCAPDが開始された1981年以降に分けて検討すると, 10年生存率は各々62%, 84%で, 後期10年生存率に改善傾向がみられた. 15歳以下で生体腎移植をうけた37例の患者10年生存率は88%, 移植腎の10年生着率は46%であった. 小児末期腎不全患者においては, 蛋白・カロリー摂取量と成長の間に有意な正の相関がみられた. また乳児においては成長の伸びがみられたが, 学童期以降では良好な成長の伸びはみられなかった. これら小児末期腎不全患者の治療成績の改善は腎センターを中心とした病院のスタッフの努力およびCAPD療法などの透析技術の改良や新しい免疫抑制剤の開発などの医療の進歩によるものと思われた.
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