本報告は, 日本人工業デザイナーの立場から, 3年間の韓国生活を通じて見聞, 調査した韓国文化, 韓国現代デザインの現状を報告するものである。日本, 韓国, 両国の歴史的文化の関係や, 現代文化, デザイン面の相違について確認作業を行うことから, それらが風土の相違, 歴史の相違, 国民性の相違, 経済成長段階の相違に由来するものであることが分かった。これらの相違を前提に, 今後の日本, 韓国のデザイン活動が取り組むべき課題・方向について考察し, 二十一世紀の更なる国際化の中で, 日本, 韓国のおかれているアジアでの立場の認識と, 「個性を尊重し協調して築いてゆく時代」と言う相互文化理解をベースとした, デザインを中心とした両国間のパートナーシップ確立の必要性を主張した。
抄録全体を表示