わい性および半わい性台木利用のリンゴ'スターキング•デリシャス'樹を供試して, 栽植密度と果実収量の関係について検討した.
1.1樹当たり収量は4種類の台木樹とも, 密度の増加に伴って減少したが, ある密度を境にして急激な減少を示した. また, 急激に減少し始める密度は樹齢の進行に伴って低密度域に移動した. このような密度(ρ) と1樹当たり収量 (X) との関係は, 次の逆数式によって記述できた.
1/X=Axρ+Bx- (1)
(ただし, Ax,Bx は樹齢および台木の種類によって変化する係数)
2.ha当たり収量は各台木樹とも, それを最大とする密度 (最適栽植密度) の存在が認められ, この最適栽植密度は樹齢の進行につれて低密度の方向に移動した.
3.1樹当たり収量 (X) と幹断面積 (θ) との間には, 樹齢および台木の種類に関係なく, 次のような相対生長関係が認められた.
X=Hθ
h- (4)
4.ha当たり収量 (Y) と密度 (ρ) の関係式は,式 (3), (4), (5) から次式が得られる.
Y=Hρ/ (Aρ+B)
h- (6)
(ただし, A, B, H, hは樹齢および台木の種類によって変化する係数)
この式で計算したha当たり収量は, 各台木樹とも実測値とほぼ一致し, 式 (6) が果実収量に関する密度効果式として適合性の高いことが認められた.
5.最適栽植密度 (ρopt) は, 次式で与えられる.
ρopt=B/A (h-1) - (7)
この式で計算したρoptは, 各台木樹とも樹齢の進行に伴って指数関数的に減少し, その減少速度はM. 9台木樹に比較して, M. 26, M. 7およびMM. 106台木樹で速かった. また, ρoptの減少過程は台木の種類に関係なく, 樹齢10年生を折曲点として2つの直線に分けられた.
6.式 (6) から計算した6年生から11年生までのha当たり累積収量は, 各台木樹とも間伐を前提としない栽植方式よりもρoptで高かった. しかし, その増収は9~25%程度であった. またρoptと間伐を前提としない栽植方式での累積収量は, いずれも半わい性台木樹よりわい性台木樹の方が高かった.
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