ロケットや人工衛星といった宇宙機器は非修理系の代表格であり,その開発プロジェクトは開発着手から運用終了まで長期に亘る期間,高い信頼性を確保する必要がある.従来の宇宙機器開発プロジェクトにおける信頼性評価・リスク管理手法は,重点管理を行う局所的な手法かつ個別の解析ゆえ,それぞれの関係性が希薄であり,事前評価の情報を運用管理や不具合発生時の事後評価に利用することが困難である.また,プロジェクトごとの個別評価のため,過去のプロジェクトから得た情報を有効活用することが難しい.以上の問題点を解決するために,首都大学東京では時系列リスク/信頼性評価手法の提案を行ってきた.本手法は,リスク・信頼性評価に時間の次元を導入し,開発・運用の全期間を通して,不具合の未然防止/有事の緊急判断を支援するためのリスク評価・緊急度評価を行い,また,発生不具合に対しては過去に遡って原因究明を行う総合的な解析手法である.本稿では,この時系列リスク/信頼性評価手法について,その概要とシステム構成,宇宙機器への適用検討結果について紹介する.
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