複数の顔を合成した平均顔は魅力的である。その合成に要する顔の数が多いと個の顔と比較して更に魅力的であるとされている。一方で、大きい目など示差性の高い顔もまた魅力的である。本研究の目的は、誇張された相貌特徴をもつ男女主役アニメキャラクターの顔においても人間の顔と同様に平均顔が魅力的であるのか、平均化によってその特徴を失うことで魅力や主役らしさも失ってしまうのかを明らかにすることである。合成に使用するキャラの顔画像の数が2枚・4枚・8枚・16枚・32枚と異なる平均顔を刺激として作成し、それらの魅力度・主役度・脇役度に違いがあるのかを検討した。多重比較の結果、男性キャラには有意な差が見られず、女性キャラの顔では2枚の平均顔が4枚・8枚よりも魅力的で主役度が高く、合成の使用枚数が多いほど魅力的・主役らしさが低い等の特定の方向への傾向はなかった。しかし女性キャラにおいて最も多くの顔を合成した32枚の平均顔は、個々の顔と比較すると魅力度が高い傾向にあった。男女キャラともに魅力度と主役度には正の相関がみられ、主役度と脇役度には負の相関がみられた。更に主役らしさと脇役らしさを相貌の何らかを手がかりとして判断している可能性が示唆された。
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