〈緒言〉医療の中にも
癒し
の空間・安らぎの環境の整備が必要とされ始めている。当院にはラウンジ・緑や展示物・敷地内の木や花があるが、そこで過ごす患者の姿はほとんど見かけない。当院では患者が望む
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の環境を提供できているのか。患者はどういう環境を
癒し
の場所と考えているのか明らかにしたいと考え研究に取り組んだ。
〈目的〉1.当院での患者が考える
癒し
の環境は何処なのか明らかにする。2.患者が望む
癒し
・安らぎの環境とはどういう場所なのか明らかにする。
〈方法〉アンケートによる実態調査で質問・記述式法、単純集計、研究期間は平成18年4月~10月、対象は産婦人科・小児科・精神科を除く日常生活動作の自立している成人から老年の患者118名(平成18年7月末日現在の全入院患者の36%)、用語の定義は
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の言葉の意味として安らげる・くつろげる・満足なども含む。
〈結果〉118名の内訳として男性68名、女性46名、無記入4名だった。年齢別としては70代が39人と最も多くついで60代25人50代17人だった。入院期間別に見ると1ヶ月以上が38%と多くついで1ヶ月以内22%だった。検査や処置のない時間に過ごす場所としては病室が77%と多かった。またその場所は58%が
癒し
と思えると答えている。病院内には
癒し
と思える場所はないと55%が答えている。病院内での
癒し
と思える場所は病室が38%、敷地内24%ラウンジはまなす17%だった。病院に望む
癒し
を感じられる場所として考えられるのは中庭、図書室、喫茶室、緑や花などがある。患者が思う
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の場所とは静かに音楽が流れている場所、座り心地の良い椅子、自然を感じられる場所などである。
〈考察〉一日の多くを患者は病室で過ごしている。病室には「治療の場」と「生活の場」という二面性があり看護師が一番多く患者と接する場所である。この病室を
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の環境として整備することは必要である。患者は中庭、図書室、喫茶室など、入院前の日常生活とほぼ同様の環境を
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と考えている。これらの環境を提供することにより入院によるストレスは軽減され患者は癒されるのではないだろうか。
〈結論〉1.対象患者の77%は一日の多くを病室で過ごしている。2.
癒し
の環境として考えているのは病室が38%で一番多かった。3.対象患者の55%は病院には癒される場所はないと思っている。4.患者が望む
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・安らぎの環境は入院前の日常生活に近い場所や環境だった。
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