日本畜産学会報
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鶏におけるBacillus subtilis C-3102連続給餌の腸管内病原菌に対する排除効果と腸内菌叢への影響
丸田 喜義宮崎 博増田 静男高橋 みゆき丸橋 敏弘只野 幸恵高橋 宏樹
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1996 年 67 巻 3 号 p. 273-280

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抄録

CampylobacterおよびSalmonellaを家禽腸管内から排除することは食品衛生上また生産性向上の点からも重要な課題である.今回我々は,Bacillus subtilis C-3102芽胞乾燥粉末の連続給餌を行ない,これら有害菌に対するその排除効果について検討した.Campylobacterを用いた感染実験では,無添加飼料給餌群•添加飼料給餌群の双方で,検出率の減少が観察された.しかし,C-3102添加飼料給餌群では,49日目に対照群に対し有意に(P<0.05)検出率が低くなっており,より速やかに排除が進んでいることが示された.Salmonellaの感染実験では,3日目で対照群の菌数が有意に(P<0.01)低く定着したものの,Salmonella感染後10日目以降ではC-3102添加飼料給餌群の方がSalmonella菌数が低く,特に10日目では有意に(P<0.05)低かった.また,24日目では検出数も5検体中3検体と減少していた,試験群ではより速やかに盲腸内からの排除が進んでいることが示された.上記のように実験室レベルの感染実験では,C-3102によるCampylobacterおよびSalmonellaの排除効果が示されたが,野外での感染に対する排除効果を検討するために,いくつかの農場で野外試験を行なった.野外試験においても,34日齢からのC-3102給餌,17日齢から年給餌いずれについてもCampylobacter菌数の有意な(P<0.001)減少と検出率の有意な(P<0.01)減少が見られ,野外でのC-3102給餌によるCampylobacter排除効果が示された.Salmonellaについても検出率が有意に(P<0.01)減少しており,野外でのC-3102の効果が確認された.野外試験での腸内菌叢検索の結果,2週齢では,C-3102給餌群でLactobacillusの菌数が有意に(P<0.05)高く,その傾向は7週齢まで維持された.Salmonellaの検出もC-3102給餌群では検体総てについて検出限界以下になっていた.7週齢では,20検体中10検体から検出されていたものの,菌数は有意に(P<0.01)低かった.また,鶏壊死性腸炎の原因菌でありコクシジウム症を増強•悪化させるClostridium perfringensについても菌数や検出数を有意に低く抑えていた.これらの試験結果からB. subtilis C-3102は,生菌剤として有望であることが示された

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